家電量販店はいつも「割引セール」をやっているけれど、あれって本当にお得なの?「通常価格」より安くなっているのでしょうか?

AI要約

価格表示に関する消費者庁のガイドラインと景品表示法について解説。

二重価格表示についてのルールと違反リスクについて説明。

家電業界での価格表示法と規約について詳細解説。

家電量販店はいつも「割引セール」をやっているけれど、あれって本当にお得なの?「通常価格」より安くなっているのでしょうか?

家電量販店に買い物に行くと、頻繁に「3割引」などの割引セールを見かけることがあるでしょう。常に割引価格が表示されているイメージがあるため、本当にお得なのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、家電量販店で実施されている3割引などのセールが、本当にお得なのかを解説します。割引セールについて気になっている方は、参考にしてください。

価格表示は、消費者が購入を検討する際に重要な、意思決定要因のひとつです。価格表示が不適切で分かりにくい場合、消費者は誤った選択をするかもしれません。消費者庁は「価格表示に関する違反行為の未然防止と適正化」を図るために、「価格表示ガイドライン」を公表しています。

価格表示ガイドラインでは、どのような表示が消費者に誤認を与えやすいかを明らかにするため、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」を示しています。

割引表示の代表的なものとして「二重価格表示」があります。二重価格表示とは、「通常価格1000円のものを、今日だけ限定で3割引の700円で販売しています」のように、実際の販売価格よりも高い価格を「比較対照価格」とする割引表示方法です。

割引表示そのものは違反ではなく、二重価格表示も適切に行っていれば、なんら問題はありません。ただし、二重価格表示を提示する際に用いた「比較対照価格」が実体を伴わないものであった場合は、景品表示法違反の対象となり、処罰されるケースもあります。

二重価格表示を提示する際に、不正確な「比較対照価格」を使用した場合は、景品表示法違反に該当するリスクがあります。消費者庁によれば、「比較対照価格」として使用できる価格の代表例は、以下の通りです。

・同じ商品であること

・最近相当期間にわたって販売されていた価格であること

価格表示ガイドラインによると、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみなされるためには、セール開始時期から逆算した8週間のうち、半分以上の期間に「当店通常価格」などの名目で「比較対照価格」で販売していた実績が必要とされています。このルールを通称「8週間ルール」と呼び、8週間ルールの具体的な内容は、以下の通りです。

・直前8週間以内に4週間以上、「当店通常価格」などとして「比較対照価格」で販売されていた期間が必要

・販売開始から8週間を経過していない場合は、販売期間の半分以上で「当店通常価格(自店平常価格)」としての販売実績が必要

また、8週間ルールを満たしている場合でも、「当店通常価格」で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、もしくは「当店通常価格」で販売された最後の日から2週間以上経過している場合は、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはみなされないとのことです。

二重価格表示を使用する場合、これらのルールに準拠していなければ罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。

さらに家電業界では、消費者庁が設けている景品表示法に加え、独自の規約が定められています。全国家庭電気製品公正取引協議会によると、家電業界では、二重価格表示の「比較対照価格」として使用できる価格を、以下の2つに限定しています。

・メーカー希望小売価格

・(最近相当期間にわたって販売されていた)自店平常(旧)価格

2つ目の自店平常価格における「最近相当期間にわたって販売されていた価格」は、8週間ルールを目安に設定されているそうです。

また、あくまでもこの規約は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めているものであり、協議会の会員でない事業者・販売者には当てはまらない場合もあります。しかし、表示する「比較対照価格」に虚偽がある場合や明確な根拠がない場合は、法律違反に該当するおそれがあります。

このことから、家電量販店が「〇割引」として商品価格を表示する際には、基本的に「比較対照価格」が存在するため、お得になるといえるでしょう。