小児患者付き添い家族の宿泊施設“マクドナルドハウス”遠方からの患者増加 深刻なボランティア不足に頭を抱える

AI要約

福岡市立こども病院のすぐ隣に位置する「ドナルド・マクドナルド・ハウスふくおか」は、入院中の子どもと家族をサポートする滞在施設であり、家族の精神的、肉体的、経済的負担を軽減する役割を果たしている。

利用料が低料金で部屋は21室あり、家族は病気と闘う子どものそばにいられることから、大きな支えとなっている。

ボランティアの存在が施設の運営を支えており、約100人が様々な年代で活動している。ボランティアの一人である鷲崎佳子さんは、自身の苦しい体験からボランティア活動を開始し、困難を抱える家族を支援している。

小児患者付き添い家族の宿泊施設“マクドナルドハウス”遠方からの患者増加 深刻なボランティア不足に頭を抱える

病気で入院している子どもに付き添う家族を支援する施設が、いま深刻な人手不足に陥っている。その現状を取材した。

福岡市立こども病院のすぐ隣、徒歩3分の場所に位置している、東区の「ドナルド・マクドナルド・ハウスふくおか」は、こども病院に入院・通院している20歳未満の患者とその付き添い家族が対象の滞在施設だ。

重篤な病気の子どもを抱える家族は、何日も病院のソファや簡易ベッドで寝たり、三食を簡単な弁当で済ませたりと、精神的、肉体的そして経済的にも次第に疲弊していくことが多い。“マクドナルド・ハウス”は、こうした家族をサポートするために生まれ、家族にとっては、なくてはならない場所となっている。

利用料は1人1泊1000円。ホテルなどと比べ低料金で滞在できるのが最大の特徴だ。部屋は21室。病気と闘う子どものもとにいつでも駆けつけられる場所にいられることが、家族にとっては精神的に大きな支えとなってる。

“マクドナルド・ハウス”の舛元啓二さんは「『近くにいるから一緒に頑張ろうね』という気持ちで、ここを希望するお母さんも多い」と利用者の心情を語る。

現在、我が子が、こども病院の集中治療室に入院しているというハウス利用者に話を聞くと「急変が…、いまのところ大丈夫だろうということで…、ハウスは近くだからすぐに子どもに会いに行けるのが一番、安心」と子どもの状況を心配しながらも、施設の利便性の良さを高く評価していた。

そんな利用者たちの滞在をサポートしているのがボランティアの人たちだ。現在、高校生から70代までの約100人が登録をしていて、それぞれが活動できる時間を見つけながら、部屋のベッドメイキングや掃除などを行っている。

年中無休で利用者を受け入れるこのハウスは、運営費やお米、消耗品など、寄付や募金で賄われていて、活動を維持するためにはボランティアの存在が不可欠だ。

ボランティアに参加している鷲崎佳子さん。自身の子どもが重い病気を抱えていた時期があったことが、ボランティアを始めたきっかけだった。

「最初の子が生まれたときに心臓に欠陥があって、こども病院に入院していた。40年前、当時はこども病院が神奈川の横浜にしかなかった。家族がひとつにならないと子どもを救えない、助けたいという思い。若いお母さんが、まだ子どもを一度も家に連れて帰っていないと言っていて、手助けになればと…。困難を抱えている家族を少しでもサポートしたい」と自身の苦しかった体験を思い出しながらボランティアに入っていると話す。