佐久間宣行「推し」を売るために賛否両論ある場所で勝負する。『ゴッドタン』『あちこちオードリー』が「人を売る番組」になった理由【佐久間宣行インタビュー】

AI要約

佐久間宣行さんの新著『ごきげんになる技術』では、ネガティブ思考との向き合い方が語られている。

本書では、ポジティブ思考だけではなくネガティブな感情も受け入れることの重要性が強調されている。

人間関係や自己成長における悩みに対して、俯瞰的な視点や組織の仕組みの理解が解決策として提案されている。

佐久間宣行「推し」を売るために賛否両論ある場所で勝負する。『ゴッドタン』『あちこちオードリー』が「人を売る番組」になった理由【佐久間宣行インタビュー】

7月26日に刊行された、佐久間宣行さんの新著『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)。テレビプロデューサーとして数々のヒットコンテンツを生み出す佐久間さんですが、実は元来ネガティブ思考だと言います。

自身のネガティブな感情とどのように向き合い、仕事に臨んできたのか。本書では、佐久間さんが編み出した「自分自身をごきげんにする技術」が綴られています。

本インタビューでは、出版に至った背景や仕事に対する考え方などを伺いました。

――書籍化の企画はいつ頃から始まったのでしょうか?

佐久間宣行さん(以下、佐久間):だいたい1年前くらいですかね。僕の雑誌『SPUR』で悩み相談に応える連載を見た担当編集の方から、「自分のメンタルの保ち方とか、プレッシャーへの対処法が面白いですね」と言われて。仕事の臨み方や問題解決の仕方、一緒に仕事する人のメンタルケアなどを本にしようとなったんです。単に連載を書籍化しようというより、悩み相談の中から自然に出てきた話を本にした感じでしたね。

最初は僕の自伝的な要素が強かったんですが、だんだんと悩み相談が中心になってきました。その中で気づいたのは、ポジティブ思考の限界についてです。

そもそも人間には、悲しみや怒り、不安など、ネガティブ思考が常に付いて回ります。こういうデリケートな感情をポジティブ思考で上書きしようとすると、本心に蓋をしたり、自分に嘘をつくことにもなりかねません。

けれど、ポジティブ思考をもって自分のメンタルを世の中に合わせようとしている人が多いんですね。そして、結局うまくいかずに悩んでいるなと気づいたんです。

本書のタイトルにある「ごきげん」とは、「メンタルが安定していて、ブレない軸がある」という状態のことです。無理にポジティブにならずに、ごきげんでいるほうが、生きやすくなりますし、多くのメリットをもたらすということを本書では伝えています。

――どういう層からの相談が多いですか?

佐久間:僕と同年代や、30代くらいの人が多くて、大きく分けて2パターンあります。

1つは、頑張りすぎて燃え尽きてしまい、世の中の変化についていけず、自分の努力が報われないと感じている人。もう1つは、新自由主義的な競争社会に適応しようとして疲れ果てている人です。

どちらの人たちにも、「必ずしもポジティブである必要はない。むしろネガティブな面も受け入れていいんだよ」というメッセージを伝えたいと思いました。ポジティブであることにもテクニックが必要で、それを無理にやろうとすると大切なものを見落としてしまうかもしれないんです。

――相談内容はどういったものが多いですか?

佐久間:人間関係の悩みですね。組織内での序列や実績が固定化してしまって、それに悩む人が増えています。

解決策としては、大きく3つのアプローチがあると思っています。状況を俯瞰的に見ること、自分で状況を把握すること、そして組織の仕組みを理解すること。この3つで多くの問題が解決できると考えています。

――相談されることは、フリーランスになってから増えたんですか?

佐久間:そうですね。特に後輩や同期くらいの人から相談を受けることが増えました。僕が忙しそうだけど、それなりに上手くやっているように見えるらしくて。

組織の中にいる人が、外から自分のキャリアを客観的に見たいとか、フリーランスになりたいけどどうしたらいいか、といった相談が増えましたね。