移転によりさらに進化した「麻布台 中むら」店主が心からリスペクトする行きつけとは?

AI要約

中むらの店主が、帝国ホテルで修業し神楽坂で成功を収めた経歴や店の特徴、移転に至るまでの思いを紹介。

麻布台に移転して名前を変えた「麻布台 中むら」は、鉄板焼きと和食を融合させた日本料理店として人気を集めている。

中村氏がこだわり抜いたカウンターの一枚板や排気フードなど、料理に対する真摯な姿勢と職人の技術が光る。

移転によりさらに進化した「麻布台 中むら」店主が心からリスペクトする行きつけとは?

一流店の店主や料理人が通う、上質な店を紹介する当連載。肉料理と日本料理の融合で食通をうならせる「麻布台 中むら」の店主が選ぶ名店とは。

帝国ホテルでの修業時代に「神楽坂に自分の店を出し成功する」と強く心に決め、洗い場専門部署を経て料理人となり、洋食や鉄板焼きなどさまざまな料理部門で技術と心を磨くこと25年。念願かなって2011年に開いた「神楽坂 鉄板焼 中むら」は、従来の鉄板焼きの概念を覆す手法で数多の食通たちの絶大な支持を集める名店となった。

若き日の志を成し遂げた店主の中村氏が2024年1月、森ビルが社運をかけて創業した「麻布台ヒルズ」に移転オープンしたのが「麻布台 中むら」だ。

「神楽坂は京都のような風情があり、料亭につける黒塗りの高級車がずらり。ここが東京?と思うほど魅了された町。お世話になった方もたくさんいますし、離れたくない気持ちもありましたが、お客様の大切なお時間をお預かりする空間や居心地、料理のクオリティ、スタッフの仕事環境など、すべてをさらに向上させるために移転を決めました」と中村氏。デベロッパーの森ビルには1年半くどかれ続けたという。

屋号から「鉄板焼」を外したのは、神楽坂時代から既に鉄板焼きと和食を融合させた日本料理店として勝負してきたから。その思いを鮮明に打ち出すため「麻布台 中むら」に改めた。

中村氏が立つメインカウンターに使われているのは樹齢150年、奥行50cmの檜の一枚板。神楽坂時代からの職人が手がけた鉄板は天然の大理石で囲まれ、その上にしつらえた排気フードは見たこともないような純銅製、角がない美しいカーブが目を引く。

「排気フードは“張りぼて”ではなくすべて銅。カーブをつけるのも高度な技術が必要ですし、フードに水蒸気が付くと錆びてしまうので、とても料理などできません。現実的には難しいと思っていたのですが、錆を防ぐコーティングなど、日本の技術と職人の仕事が見事に解決してくれました」(中村氏)