教員採用、日程早期化は「効果なし」 大分県、初の秋選考実施へ

AI要約

大分県教育委員会は、2024年度の教員採用試験の合格者が目標数に達しなかったことを明らかにした。

県教委は文科省の要請に応じ、試験日程を早めたが、効果が見込めなかった。

文科省はさらなる試験日程の早期化を求めるが、県教委はこれに応じない方針を示した。

教員採用、日程早期化は「効果なし」 大分県、初の秋選考実施へ

 大分県教育委員会は2日、2024年度実施の教員採用の合格者が407人にとどまり、予定していた496人に満たなかったと明らかにした。24年度は文部科学省の要請を受け、人材確保の観点から試験日程を例年より約1カ月早めた。だが、出願者数は前年度より250人以上も少ない1120人にとどまり、県教委は「見込んでいた効果はなかった」との見解を示した。今後、一部の試験区分で初めて「秋選考試験」を実施する。

 文科省はさらなる試験日程の早期化を求めているが、県教委は応じない方針を明らかにした。

 県教委によると、県の教員採用試験は出願者数、実質倍率とも近年減少傾向にある。12年度に1871人だった出願者数は3分の1以上減り、受験者数を合格者数で割った実質倍率も8・4倍から2・6倍に急減。同様の傾向は他県でも見られ、全国的な課題となっている。

 文科省は、受験者数が低迷する中、民間企業の採用活動も早期化し、人材確保がさらに困難になる恐れがあるとみて、23年5月、7月実施が一般的だった採用の1次試験について、24年度は6月16日を目安に前倒しするよう都道府県教委などに求めた。

 県教委も例年7月10日前後だった1次試験を前倒ししたが、出願者減少に歯止めはかからず、担当者は「正直なところ、見込んでいた効果はなかったと思っている」と述べた。

 一方、文科省は今年5月、来年度もさらに約1カ月日程を前倒しし、5月11日を目安とするよう通知した。これに対し、県教委の担当者は、既に5月実施を始めた自治体の採用状況に変化がない点などを挙げ、「1、2カ月早めることは、出願増にはつながらないのではないかと判断している」とし、25年度も6月実施とする考えを示した。

 秋選考試験は、9月中旬から出願を受け付け、25年1月にかけて試験を実施する予定。【李英浩】