「洗濯物をたたむお手伝い」認知力や模倣力、両手の協調運動が学べる! 専門家が家庭できる療育をレクチャー【お手伝い療育のすすめ】

AI要約

お手伝いは子どもが興味を示した時点でできるだけ早く始めるべきである。

お手伝いをすることで愛情と勤労意欲が育ち、自尊心の基礎や責任感が生まれる。

子どもがお手伝いを通じて生活を実感し、人に喜ばれる喜びを覚えることが重要である。

「洗濯物をたたむお手伝い」認知力や模倣力、両手の協調運動が学べる! 専門家が家庭できる療育をレクチャー【お手伝い療育のすすめ】

「お手伝い」はいつから始めたらいいのでしょうか。それは、「子どもが興味を示した時点で、できるだけ早く」です。この連載では各お手伝いに一応対象年齢を示していますが、それは目安であり、対象年齢になるまではしないほうがいい、という意味ではありません。後述するように、お手伝いの経験には、実に大きな意義があるので、お手伝いの経験はできるだけ早くから積ませたいのです。

ただ注意したいのは、あくまでも「子どもが興味を示す」なら、という点です。子どもの能動的な「やってみたい」「おもしろそう!」という心の動きがない中でのお手伝いの取り組みは「厳禁」です。それは子どもにとって、苦痛でしかありません。そのことは十分にご理解いただきたいと思います。

お手伝いは「させる」のではなく、「したがる」ときにしてもらいましょう。

幼児にお手伝いをしてもらうと、特に最初のころは教える手間・時間がかかる、やり直す手間がかかり、かえって大変なことが多いです。お手伝いを見守っている最中も、「そんなやり方ではダメ…!」と喉まで出かかることばをぐっとこらえるなど、忍耐を要します。

それでも大人は頑張って、子どもにお手伝いをしてもらってほしいのです。それは、最初にお話ししたように、お手伝いの中で、愛情と勤労意欲が育つからです。

■「自分はできる!」という感覚が自尊心の基礎になる

お手伝いをしてもらうと必ず親子のやり取りが生じ、そのやり取りの中で「愛情」が育まれます。お手伝いをやりとげると子どもの中に「自分はできる!」という感覚が生まれます。それは子どもの成長にとって非常に大切な自尊心の基礎になります。

■働いて人を喜ばせるうれしさが、人生を支える

また、「人に喜んでもらってうれしい」という感情も生まれます。働いたら家族が喜んだ。その時の胸が膨らむような誇らしい思い。それは勤労意欲の基礎になります。「働いて、人に喜んでもらうことがうれしい」と思えることは、子どもの人生を強く支えます。やり遂げることで責任感も生まれます。

■「生活すること」を実感できる

お手伝いをすることで、「生活すること」を実感するという意義もあります。何もしなくても家が片づき、自然にご飯が出てくるのではなく、誰かが手を動かし、労力を使ってくれているから整頓された家でご飯が食べられるのだということは、自分が家事のお手伝いをすることで初めて深く実感できるのではないでしょうか。

その「生活をする」という感覚もまた、生きていく上で必要なものだと思います。お手伝いをしてもらうことは大人にとって労力と忍耐がいることですが、ぜひ、根気強く取り組んでほしいと思います。