問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇

AI要約

富裕層のティーンエイジャーを対象にした「プロブレム・ティーン産業」が虐待や搾取が横行している実態を探る。

12歳の少年が死亡した事件を通じて、「トレイルズ・カロライナ・キャンプ」の問題点が浮き彫りになる。

キャンプ施設の誤った対応や時価に疑問が投げかけられ、問題行動更生という名目の裏にある現状を考察する。

問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇

問題行動を抱える青少年を更生させるという名目で、実際には虐待や搾取が横行している「プロブレム・ティーン産業」は、富裕層のティーンエイジャーをターゲットにし、長年問題が指摘されながらも今や10億ドル規模の産業に成長している。アメリカを中心に広がるこの産業の裏側で、いったい何が起きているのか。その恐ろしい実態と、問題の根源的要因について探る。

Photos: Getty Images From: TOWN & COUNTRY

少年は、逃げることのできない防水袋に入れられた状態で、夜中に死亡した。職員が少年を発見した時には、既に死後数時間が経過していた。

12歳の少年は、「トレイルズ・カロライナ・キャンプ」の小さな小屋の床に置かれたビビィ(寝袋がぴったり収まるサイズの小型テント)に寝かされていたという。ウェブサイト(現在は削除されている)によると、同キャンプは自然療法プログラムで、「十代の若者が行動上および情緒上の困難を乗り越え、自信、対処メカニズム、コミュニケーションスキルを身につけさせ、最高の自分になれることを助ける」ことを約束している。死亡した少年は、ニューヨークの裕福な家庭の出身で、2月にノースカロライナ州アッシュビルのトクサウェイ湖畔にある同キャンプ施設に送られる前はマンハッタンの名門私立校に通っていた。「トレイルズ・カロライナ・キャンプ」の費用は3カ月の滞在で7万ドル以上かかると報じられている。

その日の早い時間に到着した少年は動揺した様子を見せ、夕食を拒否したため、就寝時間までにスタッフは彼をビビィの中に入れた。ビビィには彼が外に出ようとすると警報が鳴る仕掛けがされていた。翌朝カウンセラーたちが様子を確認すると、彼は呼吸をしていなかったという。蘇生措置を取るには既に遅すぎた。

ノースカロライナ州の保健福祉省は直ちにキャンプを閉鎖。トランシルバニア郡保安官事務所は少年の死について、「不自然な死のように見られるが、死因については調査中」とすぐに発表し事件の捜査を開始した(「トレイルズ・カロライナ・キャンプ」は道徳や法律に違反する行為はなかった、との声明を発表している)。