もはや「未来の手術」じゃない…現在「急速拡大中」最新ロボット手術の中身

AI要約

がん治療の進化により死亡率は下がっているものの、患者が最新医療情報を把握していないために手遅れになるケースもある。

ロボット手術は従来の手術にロボットの機能を組み合わせた手術であり、外科医が操作することで手術が行われる。

ダビンチ手術は2009年に日本で承認され、現在では複数のがん治療に活用されており、導入台数も増加している。

もはや「未来の手術」じゃない…現在「急速拡大中」最新ロボット手術の中身

昨今、がんにかかる人は増加しているが、死亡率は年々下がり続けているのをご存じだろうか――。「がん治療」の進化が著しいことが大きな要因の一つだ。一方で、患者側の最新医療に関する知識がアップデートされていないばかりに、手遅れになってしまうケースも残念ながら少なくないという。

がん治療で後悔しないために、私たちが身につけておくべき知識とは何か。国立がん研究センターが、現時点で最も確かな情報をベースに作成した『「がん」はどうやって治すのか』から、そのポイントをお伝えしたい。今回は、近年急速に普及しているロボット手術について紹介しよう。

*本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

最近マスコミなどで「ロボット手術」が話題にのぼることが多くなりました。ロボット手術と言っても、ロボットが自動的に手術するわけではなく、従来の腹腔鏡手術にロボットの機能を組み合わせたロボット支援下内視鏡手術が正式な名称です。

外科医がモニターを見ながらハンドルを操作すると、コンピュータを介してその動きがロボットに伝達され、鉗子が動き、手術が進みます。米国ダビンチサージカルシステム(da Vinci Surgical System)の装置が最初に普及したので、ダビンチ手術と呼ばれることもあります。

この装置は1999年に米国で開発され、日本では2009年に承認されました。2012年に前立腺がんに対する手術が初めて保険適用になり、2018年には直腸がん、肺がん、食道がん、胃がん、子宮がん、膀胱がんなど、合わせて12の術式が同時に保険適用になっています。

2020年には消化管再建を伴う食道がん、膵臓がんなどに、2022年には結腸がんを含めてさらに保険適用の対象が増えました。

欧米では消化器外科領域での活用例が増加しています。2021年12月の時点で、日本国内に450台以上が導入されており、この数は世界第2位です。国立がん研究センター中央病院では2014年に直腸がん手術にダビンチ装置を導入しました(図「ロボット手術の代表的装置)。