放置すれば死に至ることも…犬や猫に”歯周病”が急増した理由とその対策

AI要約

20代、30代の若い世代を中心にペット保険の加入率が上昇している。

最近のペット保険は歯科治療も含まれることが多く、ペットのオーラルケアの需要が高まっている。

歯周病は重篤な病気に発展する可能性があり、ペットの普段の様子をよく観察することが重要である。

放置すれば死に至ることも…犬や猫に”歯周病”が急増した理由とその対策

Wizleapが運営するMOFFMEが20代~50代の男女1000名を対象に2022年に実施した「ペット保険の意識調査」によると、ペット保険の加入率は年々上昇しているという。20代、30代の若い世代では、30代女性の43%以外のすべてで、50%以上という結果だった。

ペット保険の補償内容はさまざまあるが、最近では「歯科治療」がついていることを謳うところが多い。

ペットのオーラルケアの需要が増えていることがよくわかる。

東京大学、および大学院で獣医学を学び、在学中にカリフォルニア大学デービス校付属動物病院にて行動治療学の研究をされた高倉はるか先生の、ペットのお悩み相談に答える連載の後編。

前編「心臓病ある15歳の高齢犬が『歯が痛くて物が食べられない』…命の危険を救った治療」では、心臓病の治療中に歯肉炎の治療に来た高齢のマルチーズに、全身麻酔をしてでも歯のクリーニングをするべきか、伴うリスクも含めてお伝えした。

後編では、歯磨きを推奨されても磨かせてくれない飼い犬や猫の歯周病はどう予防したらいいのか、また、ひどくなる前に気付くためのサインなどについてお聞きした。

以下、はるか先生の言葉でお伝えする。

歯周病とは、歯についた汚れを放置してできる歯垢の中に、歯周病菌などのばい菌が増殖して、歯周組織に炎症を起こす病気です。

歯磨きで歯垢を取り除くのが一番ですが、歯磨きを好む子はあまりいません。放置された歯垢は数日のうちに歯石となり、歯石には歯垢が溜まりやすいため、放置すれば症状はどんどん進みます。症状の軽いほうから歯肉炎、歯周炎、歯槽膿漏となり、歯周病とはその総称です。

歯周炎や歯槽膿漏は放置すると、体調まで崩すようになります。口の中でいつも菌と戦っている状態なので、免疫が弱まって、日和見感染しやすくなるうえ、歯が痛くて食べられないので、栄養が取れず、衰弱してしまいます。口の中の菌もつねに取り込まれている状態です。

ひどくなれば、歯が抜け落ち、細菌の出す毒素が毛細血管を通じて全身に周り、腎臓や心臓に負担をかけます。

歯周病は、ペットの普段の様子を気にしていれば、気付くと思います。

最初のサインは、口の臭いです。高齢の犬は口臭があると思っている方もいらっしゃいますが、健康な口の中は無臭です。息が臭い、なめられた手やよだれが臭いと感じるなら、病院で診てもらってください。