SNSで話題の僧侶が教える、幸せな人の特徴。介護の度合いよりも、「ありがとう」を言えるかどうか
高齢者の幸せと感謝の関係について。
幸せは積み重ねるものであり、感謝の言葉が大切。
ネコの世界から得られる人間関係の教訓。
「心を楽にする言葉」と地域ネコの保護活動の写真を組み合わせたSNSの投稿が人気の僧侶、通称ネコ坊主さん。「おひとりさまの天才」であるネコさんたちと、そんな彼らを常にみているネコ坊主さんによる名言集『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』が刊行に。今回はそこから、一部抜粋・再編集してご紹介します。おひとりさまをご機嫌で生きるヒントが見つかるかもしれません――
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◆高齢者で幸せと言える人
僧侶としてご高齢者の施設に伺うと、入居者のほとんどは、お連れ合いを亡くされたり、独身を貫いてこられたりしたおひとりさまです。
ただ、気持ちよく介護される方と、残念ながらそうでない方にくっきり分かれるんですよね。
介護の度合いよりも影響を与えること――それはケアされる側が「ありがとう」を言えるかどうか。
ああ、家族やスタッフからあまり心を込めて接してもらわれへんやろなあ……と伝わるタイプは、例外なく感謝の言葉がありません。
やってもらって当たり前だとばかりに、不平不満を並べ立てて怒ってばかり。現役時代は“エラい人”だった男性に特に多い気がします。
◆幸せは積み上げていくもの
一方、すんなり気持ちよさそうに介護されているのは、いつもニコニコしながら「ありがとう、ありがとう」と繰り返すタイプ。
施設の職員さんやご家族に愛され、常に気にかけられているせいか、異変が起こっても、すぐに駆けつけてもらえる。幸せ100%の笑顔は、まさに感謝の家元、達人クラスです。
「当たり前」は、あって当たり前。そこに、これ以上の上積みはありません。
でも「ありがとう」は、「ない」はずのところに素晴らしいものが「ある」、すなわち「有り難し」の状態。繰り返すほどに積み上がっていきます。
私は、幸せは「なる」ものではなく、積み上げていくものやと信じています。
◆ネコの世界では
何も知らない新参者のネコさんが、うっかりボスネコの縄張りに足を踏み入れたら大変です。「ウー……ッ」とドスのきいた威嚇(いかく)をされるやいなや組み伏せられて、噛みつかれるわ引っかかれるわ。
ボコボコにやられた新参ネコさんは、頭、耳、手足、尻尾(しっぽ)をできるだけ丸めてころんと縮み上がり、「ごめんなさい。参りました」のポーズを取ることでようやく許されます。
以降、新参ネコさんが縄張りに入るケースはあまりないのですが、なかにはボスネコに気に入られて、そのままウロついていても追い出されない例も。
ごめん上手は身を助ける――かどうかはボスネコに聞いてみないとわかりませんが、やっぱり、スマートに「ごめんやで」が言える人はうらやましいです。
私はあまりうまくありません。素直になれへんくて反省することも、けっこうあります。
◆ひとりぼっちにならないために
人間関係で失敗するのは、たいてい「慢心」と「思い込み」。
この世には、人の数だけ正義があります。自分だけが正しいと思っていると、また別の正義が現れて、揉める。なんでわかってもらえないんだろうと、ますます孤独を深める。
角を立てずに頭を下げたほうが、ひとりぼっちにはなりません。
「私は信じた道を行く」と決めて孤高に生きるのか。それとも、「ごめんやで」と頭を低くしつつ、いろいろな人に慕われて生きるのか。選ぶのは、あなたです。
※本稿は、『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)の一部を再編集したものです。