ワンちゃんネコちゃんも熱中症には要注意! 皮下補液なら脱水は数分で解消する【ワンニャンのSOS】

AI要約

今年の猛暑で熱中症に注意が必要。ワンちゃんやネコちゃんも影響を受けやすい。

脱水を判断する方法や対処法について。水をかけて冷やすことが重要。

皮下補液は、点滴よりも効果的で循環器系への負担が少ない。ビタミン剤やアミノ酸の添加は意味がない。

ワンちゃんネコちゃんも熱中症には要注意! 皮下補液なら脱水は数分で解消する【ワンニャンのSOS】

【ワンニャンのSOS】#75

 この夏は歴史的な猛暑で、各地で40度近い体温超えの暑い日が相次いでいます。そうなると怖いのが熱中症です。飼い主さんも大変ですが、ワンちゃんやネコちゃんも注意してください。

 人は大量の発汗から脱水を起こし、めまいやしびれ、こむら返りなどの症状が現れてきます。しかし、ワンちゃんやネコちゃんは、汗腺などの数が少なく、発汗の異常では脱水に気づきにくい。脱水を判断する目安は、皮膚です。ひとつは大きくつまんで元に戻る速度で、健康ならすぐに戻りますが、脱水すると2秒くらいになります。もうひとつは、汗でベタベタしたウエット感です。

 まずは水をかけたりして冷やすこと。意識障害がなければ、自宅でミネラル電解水を少しずつ飲ませて様子をみることも可能ですが、ボーッとするなどしていたら受診してください。

 人が熱中症で病院にかかれば、点滴で脱水を解消しますが、ワンちゃんなどは必ずしも点滴とは限りません。皮下補液という処置も重要です。

 ワンちゃんやネコちゃんの皮下組織は、組織同士の間にすき間があります。そこに針を刺して、電解質バランスが適した補液を注入するのが皮下補液です。

 この方法のメリットは2つ。数分の短時間で必要な水分を注入できて入院せずに済むのが一つです。もう一つは、心臓や腎臓など循環器系への負担が少ないこと。注入した水分は細胞膜を介してゆっくりと取り込まれます。一方、血管に直接、補液を投与する点滴だと、一気に血液循環量が増えるため、心臓などへの負担も増えるのです。

 経験豊富な獣医師であれば、症状の確認と血液検査の結果などから、皮下補液を選択して迅速に治療することは難しくありません。特に心臓弁膜症や心肥大など循環器系の病気があるケースは、こちらの方が有効なこともよくあります。

 赤血球や血小板などの数値に明らかな異常が認められたり、血栓ができそうな兆候があったりすると、点滴がベスト。その場合、前述したような循環器系の障害があると、最低でも1日は入院し、脱水を補正するには5、6時間を要します。より慎重な投与が必要だと、さらに時間をかけての点滴です。

 どちらが適切かは、獣医師の判断になりますが、皮下補液という治療法もあることは覚えておくとよいと思います。実は皮下補液のとき、電解質バランスが適切な補液剤を選択すると説明しましたが、一部の動物病院ではこれにプラスしてビタミン剤やアミノ酸、糖質などを添加することがあるようです。

■ビタミン剤もアミノ酸も糖質も意味なし

 何となくよさそうに感じるかもしれませんが、ビタミン剤もアミノ酸も糖質も、細胞膜を通過できないので、補液に混ぜても意味がありません。恐らく治療費アップが目的でしょう。

 点滴なら、補液にこれらをプラスしてもきちんと吸収されます。この違いもぜひ頭に入れておいてください。

(カーター動物病院・片岡重明院長)