思わず「WOW!」と驚くこと間違いなし。ぺんてるが7年かけて開発した新ボールペン「FLOATUNE」の秘密

AI要約

ぺんてるの「FLOATUNE(フローチューン)」は、低粘度油性ボールペンとして三菱鉛筆やパイロットのものと同様の書き味を提供する新製品です。

開発には7年かかり、エナージェルの後継として始まったプロジェクトが新たなボールペンの可能性に挑戦していた。

プロジェクトにはインキの開発担当者、デザイナー、コンセプト立案者などが参加し、ヌル3という特徴的なインキが生まれた。

思わず「WOW!」と驚くこと間違いなし。ぺんてるが7年かけて開発した新ボールペン「FLOATUNE」の秘密

ぺんてるの「FLOATUNE(フローチューン)」は、ボールペンの種類としては、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」や、パイロットの「アクロボール」などと同様のいわゆる「低粘度油性ボールペン」です。

粘度が低い油性インキのボールペンといっても、粘度が低いだけでは、なめらかで軽く心地よい書き味になるわけではありません。書き味には、ペン先の「チップ」と呼ばれる部分の構造や軸のデザインなども影響します。

そのため、それぞれのペンに個性があり、低粘度油性ボールペンと一言でまとめるのは無理があるくらい、違うコンセプトや狙いを持って作られています。

ぺんてるが「FLOATUNE」の開発をスタートしたのは2017年ですから、発売まで7年かかっています。

すでにぺんてるには「エナージェル」という独自のゲルインキを使った人気商品もあり、なめらかでインキがたっぷり出るボールペンとして多くの人に愛用されているのですが、その次にくる新しいペンを作るというのが、開発の一番最初のコンセプトだったそうです。

「元々は自社のゲルインキボールペン『エナージェル』の後継となるボールペンを作ろうというところから始まったのですが、その時点では、“驚きのあるボールペン”というくらいの緩いくくりで始まって、実は油性、水性、ゲルのどのボールペンにするかということも決まっていませんでした。

とにかく、何か新しい驚きがあるものをと、いろいろ試している中で『WOW!』というキーワードが出てきました」

と話してくださったのは、プロジェクトが立ち上がった最初からデザイン担当として携わっている製品戦略部 デザイン課の柴田智明さん。

筆者は、2017年に「オレンズネロ」のデザイナーとして柴田さんにインタビューしていたのですが、そのときには、すでに「FLOATUNE」のプロジェクトは始まっていたわけです。

プロジェクトには、最初からインキの開発担当者も、ボールペンのチップなどの開発者もデザイナーも、ネーミングなどのコンセプトを立てるスタッフも参加し、専用の開発室まで与えられていました。

「デザインも『エナージェル』のリニューアルという方向で考えていたのですが、いろいろやっているうちに『WOW!』というキーワードが生まれて、さらにそのキーワードにぴったりの『ヌル3』という面白いインキが出来てきました。

これはもう『エナージェル』じゃないよね、ということになって、そこから新しくデザインを考え始めました」と柴田さんが言います。

全部を一度に進めようというプロジェクトは、製品開発の手法としてもかなり珍しいものだと思います。

「どんどん変更があるのはある程度覚悟していましたが、ここまでとは思ってませんでした」と柴田さんは笑います。