動物園のパンダの「オフショット」が完全にホラー映像でした

ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。

2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。

まるでホラーなタンタンが登場したのは、連載46回目(https://gendai.media/articles/-/87777)。寝室の中でタンタンが赤い光に照らされています。「朝来たら、たまにこうやって座っていて、ギョッとすることがあります」と、話すのは飼育員の梅元良次さん。「今朝は寝転がって目を開けて、起きてはいましたね。そこからちょっとしてから見たら、また座っていました」。朝はのんびりモードのようです。

この頃は検診に気が乗らず、観覧開始時間が12時からとなったこともありました。「10時30分頃には、ちょっと11時公開はむずかしいなとなって、ツイッターでみなさんにお知らせしました。11時すぎには終わっていたんですが、タンタンを少し休ませてあげたかったので」と、梅元さん。

トレーニングルームになかなか入らなかったり、動作が遅くなったり。気分が乗らないと、どうしても時間がかかってしまうのだそうです。そういうときは検査の日をずらすなどして、対応していました。いつでもタンタンペースが一番なのです。

9月末の取材時には、朝夕涼しい時間も増えていました。そろそろお庭にも出られるでしょうか。「タンタンが出たいそぶりを見せたら、いつでも出られるように、庭はキレイに整えています」と、梅元さん。気温が低い朝や休園日には、お庭を散歩しているのだそう。

お庭に出るようになると、より自然な姿が撮影できるため、お嬢様専属カメラマンの梅元さんも腕が鳴りますね。かわいく撮るコツをうかがうと「連写することですかね。タンタンは表情がとても豊かなパンダです。一瞬の輝きを写真におさめてもらえれば」。確かにお嬢様は、いろいろな表情を見せてくださいますね。

梅元さんは「僕が写真の事を語るなんて、おこがましいです」としながらも「自分がかわいいと思うものが一番ですよ。みなさんの『かわいいタンタン』を撮っていただけたら」と、話します。どう撮っても、かわいくなってしまうに決まっていますよね、お嬢様。

取材日、ちょっと早めのランチは、リンゴからスタート。ニンジンとパンダ団子を見比べて、ニンジンを2本くわえ、後ろ向きになって両前あし二刀流に持ち替えました。

ニンジンを食べ終わると、残ったパンダ団子をいったんくわえて、はなして。薬入りじゃないかと疑っているのでしょうか。あまりに疑われるので、最近パンダ団子には薬を入れていないそうですよ。

お食事のあとは、壁ぎわで床にゴロンと転がってそのままお休みに。その姿を見た親子連れが「ちっちゃいね。お餅みたいになってるね」と話しています。なんともおいしそうなお餅ですね、お嬢様。