「定峰峠のうどん」鬼が驚く繊細な味わい 埼玉・東秩父村  ビバ!続・うどん共和国

AI要約

県道11号熊谷小川秩父線沿いにある小宮食堂の鬼うどんが紹介される。店主夫妻が提供するのは本日のメニューで、厳選された食材と手作りのうどんが評判だ。

麺には秩父の銘酒「秩父錦」を練り込み、コシと香りが特徴的。つゆは上品な味わいで、きんぴらとの相性も抜群だ。

店名の由来や店主の過去の経歴にも触れながら、小宮食堂の風景や魅力が紹介される。

「定峰峠のうどん」鬼が驚く繊細な味わい 埼玉・東秩父村  ビバ!続・うどん共和国

鬱蒼(うっそう)とした森の中を通る県道11号熊谷小川秩父線。小川町から秩父方面へ車を走らせると、大きな赤い店旗が見えてくる。

店主の小宮芳隆さん(82)と妻の貞子さん(77)で切り盛りしているため、提供するのは「本日のメニュー」が中心だ。記者が訪れた日は「からみきんぴら鬼うどん」の冷やしぶっかけと、温かいぶっかけ(ともに並盛1500円、大盛り1700円)。暑い日だったので、冷やしぶっかけを注文した。

■大切なのは練り

うどんの見た目に、まず驚く。名称が「鬼うどん」と勇ましいので、極太で褐色の麺を想像していたら、まさかの、やや細い、そして真っ白な麺が出てきた。

添えられたきんぴらの切り方や盛り付けが上品だ。日本舞踊をたしなむ貞子さんの影響だろうか。種類の違う薬味同士が混ざらないように、鰹節に海鮮も使ったつゆの鉢は2つ。

麺はコシとともに、独特の香りがある。秩父の銘酒「秩父錦」を、ほんの少し入れて練るという。

「うどん作りで一番大切なのは練り。手で何回も練る。足踏みだけでは『手抜き』で、ただ硬いだけのうどんになってしまう」

つゆは、ほんのり甘い九州産の醤油を使い、上品な味わい。きんぴらは、秩父地方の郷土食として、おなじみだ。

■鬼を入れると客増

約40年前の開店当初は別の名前で営業していた。あるとき、なじみのお客さんから、現在の店名を提案される。

「えっ、鬼かと驚いたが、『鬼は一番の神様だ』と強く薦められて改名したら、お客さんが以前より多く来るようになった」

現在は腕にケガをしているため、営業は土日の午前11時から午後3時までだが、「9月までには治して、平日も再開する」と気合が入る。

実は、小宮さん。昭和39年の東京五輪時には、体操の競技種目である鉄棒関係者から「合宿に来るか」と声をかけられたこともあるほどの高い運動能力の持ち主である。握力は60キロ。後にはボディービルも経験した。

事前連絡すれば借り切りもできる。「お客さんたちと店内でオフ会を開いて話をするのが楽しみです」と笑顔をみせる。