ラーメン店の多い都道府県は脳卒中死亡率が高い…管理栄養士「塩分・糖質・脂質の塊」をヘルシーに食べる方法

AI要約

研究によると、ラーメン店の数と脳卒中の死亡率に関連性がある可能性が示唆されている。

高塩分と高脂肪なラーメンの摂取が健康リスクを高める可能性がある。

健康的なラーメンを作る方法として、牛乳入りラーメンが提案されている。

■「牛乳入りラーメン」を研究家が勧めるワケ

 7月11日は日本ラーメン協会が制定したラーメンの日だった。あなたはラーメンが好きだろうか。

 ラーメンに関連した研究では2019年、英国の栄養学専門誌「Nutrition Journal」に発表された「ラーメン店が多い都道府県では、脳卒中の死亡率が高い」という報告がある。自治医科大学医学部内科学講座神経内科学部門の松薗構佑講師らが行ったもので、4種類の外食店(ラーメン店、ファストフード店、フランスおよびイタリア料理店、うどんおよびそば店)の「店舗数」を都道府県ごとに算出し、「脳卒中」と「心筋梗塞」による死亡率を集計して外食店との関係を調べたところ、「ラーメン店の数」と「脳卒中の死亡率」に統計的に有意な関連性があったという。

 ラーメンが悪と決まったわけではなく、あくまで地域におけるラーメンの店舗数の比較である。松薗講師も、「ラーメンをたくさん食べると脳卒中で亡くなるという関係を直接示したわけではない」と前置きしたうえで、「けれどもラーメン店が数多くあるのは、そういう食事を好む方が多い地域であり、脳卒中の死亡率が高い傾向にあると考えてもいいと思います」と話す。

 脳卒中には、脳の血管に血栓が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れて起こる「脳出血」がある。死亡率が高いのは脳出血だ。

 さまざまな研究で「塩分」が血管にダメージを与えることがわかっている。「日本人の食事摂取基準」では食塩摂取量の目標値を成人1人1日あたり男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満に設定しているが、日本の伝統的な食事が高塩分であることもあり、日本人は世界的にみて食塩摂取量が高い。ラーメン一杯を完食すれば通常6グラム以上の塩分摂取だ。ラーメンを含む高塩分食ばかり摂取した結果、脳の血管がもろく(切れやすく)なってしまう可能性はあるだろう。

 しかもラーメンそのものも“糖質(麺)と脂質(スープ)の塊”である。外でラーメンを食べる場合はせめてスープを半分にして塩分を「取らない」か、「排出する」ほうに力を入れたい。野菜や果物に含まれるカリウムは、ナトリウム排泄の作用がある。今の時期ならバナナ、キウイ、スイカなどにはカリウムが豊富に含まれるので、食後に摂取してもいいだろう。

 そして一番のお勧めは、家で健康的なラーメンを作ることだ。管理栄養士でミルク料理研究家の小山浩子氏が「ミルクラーメン」を提案してくれた。文字通りラーメンに牛乳を入れるのだが、意外にもおいしい。小山氏によると「スープまで飲み干せるラーメン」なのだという。

 「日本人は塩分の3分の2を調味料から摂取しています。ですから調味料を減らせば簡単に減塩ができます。ところがそうなると、味が物足りなくなって続きませんよね。でも牛乳は、そのものが五味(甘み・酸味・塩味・苦み・旨み)をもっているので、味噌味・醤油味・塩味のいずれのラーメンでも調味料を半分に減らして牛乳を加えれば、味がなじんでおいしく減塩できるんです」

 インスタントのようなひとつの鍋で作るラーメンなら、ぎりぎり麺がつかるくらいの水分量でゆで、麺をゆで終えたら、半分以下の調味料を入れ、味をみながら牛乳を加える。

 「市販のラーメンに添付される調味料は塩分約3グラム、多いもので5グラムくらいです。できれば1.5~2グラム以下に減らしたいところですね。また麺にもおよそ1.5グラムの塩分が含まれるので、手間はかかりますが麺を別ゆでし、ゆで汁を使用せずにスープと合わせれば、減塩効果が高まります。そしてスープは少なめに作ったほうが、牛乳を足すことで味を濃く感じるでしょう。七味唐辛子や黒胡椒などの香辛料で味を補ってもいいですね」(小山氏)