学校給食の9割が「瓶牛乳」“最後の砦”信州でも…老舗メーカーが瓶から紙パックへ 瓶の値上がり、機械の老朽化 惜しむ声相次ぐ「さみしい」「ありがとう」 

AI要約

大北地域で長く愛されてきた瓶牛乳の製造・販売が終了し、紙パックに切り替わることが決定された。

松田乳業は80年以上にわたり瓶牛乳を提供してきたが、状況が変わり、瓶の価格上昇や製造ラインの老朽化などの理由により紙パックに移行することとなった。

少子化や需要の減少など、牛乳産業全体の変化も背景にある。

学校給食の9割が「瓶牛乳」“最後の砦”信州でも…老舗メーカーが瓶から紙パックへ 瓶の値上がり、機械の老朽化 惜しむ声相次ぐ「さみしい」「ありがとう」 

特集は「瓶牛乳」です。長野県内では学校給食で提供される牛乳の9割が瓶ですが、大北地域の給食で長く愛されてきた瓶牛乳の製造・販売が、この程惜しまれながら終了しました。メーカーは紙パックでも変わらぬ味を届けたいとしています。瓶から紙パックへ。メーカーの決断と切り替えの背景を取材しました。

7月22日、大町市の大町北小学校。

児童:

「いただきます」

夏休み前最後の給食です。児童たちがおいしそうに飲んでいる牛乳。「特別な1本」となりました。

1年生:

「かなしい!」

「かなしい。瓶がなくなるから」

大北地域の20校余りの給食で提供されてきた瓶牛乳はこの日で最後。休み明けから紙パックに変わるのです。

瓶牛乳を製造してきたのは地元の松田乳業。

松田乳業・松田邦正社長:

「確かに寂しいことは寂しいんですけど、われわれとしても、(紙パック化は)非常に大きな投資。私もこの人生最後の投資かなと思ってやるんです」

松田社長はやむを得ない決断だったと振り返ります。

松田乳業は1922年・大正11年の創業。松田社長の祖父・正人さんが、数頭の牛を飼って牛乳を売るようになったのが始まりです。

2代目・正一さんの時代に、給食の脱脂粉乳が牛乳に切り替わり、以来、給食用を一手に引き受けてきました。瓶牛乳の歴史は80年以上。

当初、瓶には何も書かれていませんでしたが、65年程前から印字された瓶になりました。「富より健康」のキャッチフレーズと、男の子のキャラクター「まつだくん」は地域住民にはおなじみのデザイン。「まつだくん」のモデルは子どものころの松田社長です。

松田乳業・松田邦正社長(2022年取材):

「私はこんなに当時、太ってなかったので、健康をイメージしてキャラクターを作ったんでしょうね」

長く親しまれてきましたが、2023年、状況が変わりました。

松田乳業・松田邦正社長:

「弊社の場合、35円で使っていた瓶が75円になりまして、それが非常に理由として大きいなということ、製造ラインの老朽化、これがもう…」

少子化などで牛乳の需要が減る中、瓶の製造業者も減少。一部の業者に注文が集中し、2023年、倍以上に値上がりしたのです。