ドライヤーも持てない利き手で銅メダル…「努力の天才」卓球・早田ひな「思考の瞬発力」

AI要約

早田ひな選手が左手を負傷しながらも銅メダルを獲得し、卓球女子団体戦にも出場する様子が描かれている。

医師の心配や早田ひな選手への治療法について述べられている。

早田ひな選手の覚悟やサポート体制も含め、続きの展望が示唆されている。

ドライヤーも持てない利き手で銅メダル…「努力の天才」卓球・早田ひな「思考の瞬発力」

「神様にこんなタイミングでいじわるされるとは思わなかった」

8月2日の卓球女子シングルス準決勝で利き手である左手を負傷、そのケガを押して出場した3位決定戦で見事銅メダルを取った早田ひな選手は、インタビューでこのように語っていた。しかしその後の卓球団体戦も危険せずに出場、団体のメダルがかかった試合に挑む。

ジャーナリストの島沢優子さんは、早田ひな選手が幼いころから記していたノートについても自身の著書『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(2019、カンゼン)にて綴っていた。今回の銅メダルのときの状況や過去のノートについて振り返り、早田ひな選手の能力を分析する。

7日未明に行われた卓球女子団体戦準々決勝で、日本はタイを3―0で下し準決勝に進出し4大会連続表彰台に王手をかけた。利き手である左腕を痛めている早田は、交互に打つため負担の少ないダブルスに出場。左腕にテーピングを巻いてプレーする姿は痛々しいが、バックハンドでポイントを奪うなど軽快した様子がみてとれた。

シングルス準々決勝で痛めた当初は「ひとりでお風呂も入れない。左手が使えないし、ドライヤーとかもできない状況だった」と、銅メダルを獲得した3位決定戦後のインタビューで語った。翌日の準決勝後は7時間にわたって治療を受けたという。

痛みの残る団体戦1回戦(対ポーランド)は、自身のダブルスが終わった後にベンチで後続の選手たちを応援。左手ではなく右手で膝を叩いて仲間を鼓舞した。試合終了後、白い包帯のようなもので巻かれた左腕からは数本のコードがつながれ、すぐさま電気治療が行われているようだった。

スポーツ現場でチームドクターを務める整形外科医の男性医師は「痛み止めの注射を打ったという報道を聞いた。究極の選択をしたんだろうと思う」と心配そうに話す。医師によると、痛みを軽減するには飲み薬よりも注射のほうが効き目は強く、ほかにステロイド剤を使うケースもあるという。ただし「アスリートの場合、ドーピングに引っかかるリスクがあるため使えないだろう」と言う。

「いずれにしても、痛みの元を直しにいくのではなく、だましにいく治療になる。早田選手にとっては決していいことではない。ただ、早田選手も相当の覚悟を持っているようなので、トレーナー含め全力を尽くしているのでしょう。メディカルの担当者もつらい選択だと思う」

とはいえ、現地時間の7日に試合がなく中1日空くのは助かる。あと2試合を乗り切るためにも、JOCやスポーツ医・科学委員会関係者など日本のスポーツ医学の力を結集して、早田のリカバリーを支えてくれるだろう。