大学生で妊娠発覚 子育てもキャリアも諦めない 4児のママが月3万円の業務委託から取締役にまで抜擢されたワケ

AI要約

母親としての苦悩や自己実現の欲求から独立を果たし、新たな働き方に挑戦した毛利優子。書籍の出版をきっかけに講演や研修の依頼を受けるようになり、自身のキャリアを築いていく過程を描いている。

企業からの依頼を受けて働くママ向けの講演や研修を行いながら、将来のビジョンを具体化し始める毛利優子。柔軟な働き方の実現や人材紹介会社との協力も模索している。

Piece to Peaceでの取締役就任のきっかけとなった大澤亮からのメールを受け取り、新たな局面に立つ毛利優子。個人事業主から役員までのキャリアの転機に迫る。

大学生で妊娠発覚 子育てもキャリアも諦めない 4児のママが月3万円の業務委託から取締役にまで抜擢されたワケ

 さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回の主人公は、プロ人材(業務委託)と企業のマッチング事業を手がける会社・Piece to Peaceで、取締役CMOを務めた毛利優子さんです。前編では、学生結婚で育児と両立しながら、大手監査法人やITベンチャー企業で自身のキャリアを磨いてきた歩みについてお話を伺いました。後編は、個人事業主としてリスタートを切ったきっかけや、会社の役員に至るまでの経緯と思いについてです。役員への道は、なんと月額3万円の業務委託契約から始まったそう。キャリアを成功へと導いた、毛利さん流の思考術とは――?

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 ウェブ制作を手がけるITベンチャー会社で働いていた2014年。立ち上げたママさんサイトも順調に収益を上げるなど、毛利さんの仕事は充実していました。その一方、毎朝、毛利さんが出社で家を出るたびに当時小学1年生の長女が泣き出すように。保育園のお迎えに間に合わせるために出社時間を早めて働いていたため、朝は夫に子どもたちをお願いしていたそうですが、出かけようとする母のスカートを引っ張って泣く姿を見て、毛利さんは独立を決意します。

「会社員という形で働くことと育児を両立することの大変さは、ずっと感じていて……。当時、ノマドワーカー、週末起業など会社員という枠にとらわれないいろいろな働き方の本を読んでいて、新しい働き方に挑戦してみたいと思っていた」という毛利さんにとって、それは独立をするいいきっかけでもありました。

 いざ働き方を変えてみると、子どもをしっかり見られて「気持ちが楽になった」といいます。そのうえ、通勤に費やしていた往復4時間がなくなり、体力もチャージできたそう。

「ただし、キャリアが完全にゼロからスタートという意味では、すごく不安が大きかったです」と振り返ります。

 とはいえ、そこで立ち止まる毛利さんではありません。前職の会社からライティング業務を請け負うなどしながら、書籍の出版コンテストにも応募。そして「働きたいママの就活マニュアル─働きたいけど働けないモヤモヤを解消!」(自由国民社刊)、「これで解決。働くママが必ず悩む36のこと」(日本実業出版社刊)と、立て続けに書籍を2冊上梓。それが新たな突破口を開くことになりました。

「出版を機に、企業から『育児と仕事の両立に悩むママ社員に、講演をしてほしい』『働くママを部下に持つ上司の研修を依頼したい』など、お声がけをいただくようになったんです」

 また、「将来、自分は何をしたいのか?」と、じっくり考える時間を持てたことも大きかったそう。

「ウェブを使った情報発信や本の出版で、ユーザーに情報を届けられる。でも、それだけでは物足りなくて、直接サービスを届けたい! と。

 また、日本でも働き方が柔軟になれば、より多くの方が活躍できるはず。そのために、どこかの人材紹介会社と組めないかということも考えるようになりました」

 そんなある日、毛利さんに1通のメールが届きます。それは、6月末まで取締役を務めていたPiece to Peaceで代表を務める、大澤亮さんからでした。