子宮頸がん告知から天国へ旅立って2年。SHALさんの兄が「SNSを更新し続ける理由」
子宮頸がんを患いながら闘病した女性ボーカリスト・SHALさんの生前の言葉や家族の思いを紹介。
SHALさんの支えとなった家族の姿や、亡くなった後も家族に残した足跡について語られている。
SHALさんの三回忌法要や母親の感情、亡くなる前のエピソードなど、家族の愛情が伝わる文章。
「再発」という言葉を聞いた時、泣いたよね。本当に泣いた。久しぶりに泣いた。
子宮頸がん再発の5年生存率は、5%以下。でも可能性はゼロじゃないからね!
家族や仲間たち、バンドのTakeshiリーダー、友達、そして皆さんが支えてくれた。
本当にありがとう!
なんとかなるよ!大丈夫!!!
私は生きる、必ず。生きることを自分で決めたい。
これらのメッセージは、『THE UNCROWNED(アンクラウンド)』というハードロックバンドの女性ボーカリスト・SHALさんが生前、自身のTwitter(現・X)やnoteに綴っていたものだ。2022年8月5日、SHALさんは天国へ旅立った。子宮頸がん告知からわずか2年間の闘病生活だった。
子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)近くにできるがんで、日本では毎年約1.1万人の女性がかかり、約2900人が亡くなっている。患者は20歳代から増えはじめ、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人いる。
SHALさんは生前、がんを抱えて生きる自らの姿を公表し、治療経過を赤裸々に語り、子宮頸がん予防のためのワクチン接種と子宮頸がん検診の大切さを訴えていた。彼女の行動を、想いを、ご家族はどのように見守ってきたのか。亡くなる前のSHALさんは家族にどんな姿を見せていたのか。SHALさんの母と兄にお話を伺った。
2024年7月下旬、栃木県宇都宮市でSHALさんの三回忌法要が執り行われた。
自宅の庭には大きなハンカチノキが4本ある。SHALさんが10歳になったことを記念してご家族が植樹した思い出の木だ。その木が30年の時をへて、今年は例年にはない多くの純白の花を咲かせ、母を驚かせた。
「娘が天使になって舞い降りてきたかのようでした」
SHALさんの母は、仕事場に3歳になった頃のSHALさんの写真を置いている。
「毎日、かわいいねと声をかけながら1日の仕事が始まります。いくつになっても子どもは愛おしいものです」
今でも忘れられないのは、亡くなる3年前の出来事だ。「下腹部に痛みがある」と娘から相談を受け「とにかく病院へ行くように」と伝えた。大人になっても我が子の健康はいつも気がかりだ。何度も「病院へ行ってね」と促した記憶がある。
「本人は便秘だと思い込んでいたことで、受診までに1年間放置してしまったことが、発見が遅れた原因でした」