「文武両道」柔道の朝比奈選手を目指さなくていい 勉強のレギュラーは多数 桜井信一  桜井信一の攻める中学受験

AI要約

熱中症に注意しながらのパリオリンピック開催中。受験生の保護者はオリンピックよりも勉強に集中。一方、朝比奈沙羅選手のように複数の分野で活躍する人もいる。

朝比奈沙羅選手は柔道を小学生から続け、中高大と柔道を極めた後、ラグビー部のマネージャーを務める等、多彩な挑戦を続ける。その行動には感動を覚える。

スポーツ選手の活動は感動とドラマが多いが、勉強は比較的地味。努力ではどうにもならない才能の差との違いに苦悩した経験もある。

「文武両道」柔道の朝比奈選手を目指さなくていい 勉強のレギュラーは多数 桜井信一  桜井信一の攻める中学受験

パリオリンピックが開催中で世間では寝不足の方も多いと思います。でも受験生の保護者の皆様はオリンピックどころではないのかもしれません。当時の私なら、まるで勉強以外のことはまるで無関心だったことでしょう。頭はひとつですから、私の場合そんなに器用にあれもこれもできないのです。

しかし、世の中には実に不思議な人がいます。ひとつ極めるだけでも大変なのに、2つ3つと極めてくる人がいるのです。

文武両道というと色々な人が浮かんでくるでしょうけれど、その中でも真っ先に朝比奈沙羅選手を推したい。小学校2年生から柔道を始めた朝比奈選手は東京都の最難関校である渋谷教育学園渋谷中学に入学。中高と部活に励み、様々な大会で大活躍しました。

その後、東海大学に進学し柔道を続けます。卒業後はなんと獨協医科大学に進学。こういう人っていますよね、やりたいことをやってからもう一つも叶えてくる人。何というかもうひとつの夢や目標を迎えに行く人。そういえば、ラグビーの福岡賢樹選手もそうでした。ここまでくると嫉妬をする気も起きず憧れになるのです。

さて、朝比奈選手ですが、大学では柔道をやりながらラグビー部のマネージャーをして、アメフトもやってみたいというからいったいどれだけ器用なんだと思います。私が推しているのはここから――。

今回の五輪には出場してませんが、2021年6月の世界選手権決勝で優勝した際、相手選手が膝を負傷したのです。すると、朝比奈選手は相手選手をおぶって一緒に畳に礼をして出たのです。確かにおぶってお辞儀すると二人でお辞儀できますよね。これには震えました。

抜きんでたスポーツ選手の行動ってなぜか印象に残るものが多い。ドラマが多い。スポーツだけでなく音楽の世界もそう。多くの人を感動させます。それに比べて勉強は地味。感動してくれるのは家族ぐらいです。

私は小学生の頃、硬式少年野球と地域の柔道教室に通っていました。野球は6年間、柔道は2年間。特に少年野球ではのちにプロ野球で大活躍をした選手を目の当たりにして過ごしました。

そんな私は玉拾いをしながら考えたのです。この努力は無駄なのではないだろうかと…。そこで私が見たものは圧倒的な才能の差。努力では何ともならないような絶望感。それに比べて勉強という道は地味ではあるけれどレギュラーになりやすい。レギュラーが9人だけじゃないのです。もっともっと大勢いる。