映画『FERRARI』を観てきました! 主演はアダム・ドライバー、気になる結末は…?

AI要約

モータースポーツ映画の歴史と人気作品について触れる。

F1やルマン24時間レースを題材にした映画の特徴を解説する。

映画『FERRARI』がこれまでの作品と異なる点について考察する。

映画『FERRARI』を観てきました! 主演はアダム・ドライバー、気になる結末は…?

クルマ映画の話題の新作『FERRARI』の試写を、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が観てきました。

アダム・ドライバー演じるエンツォ・フェラーリをはじめとして、この映画はこれまでのモータースポーツ映画とは一味も二味も違う。映画の見どころと、独特の深みをリポートします。

(c) 2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『FERRARI』を配給会社の試写室で観てきました。

クルマやモータースポーツを題材とした映画は、いつの時代でも製作されてきました。2019年の公開時に観た『フォードvsフェラーリ』は1966年にフォードがルマン24時間レースで優勝するまでを、テストドライバー出身ながらレースでも重要な役割を果たしたケン・マイルズを主人公に設定し、大袈裟な仕掛けやハッタリなどを用いず秀作に仕上がっていました。

『ミシェル・ヴァイヨン』はルマン24時間レースを題材とした2003年のフランス映画。実際のルマン24時間レースに映画のためのマシンをエントリーして走らせた撮影シーンを現地で見ました。その後、パリのスタジオにも取材に行きました。もともとはフランスのコミックスであり、テレビアニメ作品が映画されたものでした。

もっと前となると、『デイズ・オブ・サンダー』が印象に残っています。NASCARシリーズというアメリカのストックカーレースのドライバーをトム・クルーズが演じ、ニコール・キッドマンが相手役となる1990年の作品です。

さらに遡れば、スティーブ・マックイーンが資金を投じ、主演を務めた『栄光のルマン』は、その名の通りルマン24時間レースをドキュメンタリータッチで撮影した1971年の作品です。

もっと昔だと、世界を転戦するF1グランプリを群像劇として描いた『グラン・プリ』が1966年に公開されています。もちろん、公開当時ではなく、のちに名画座だったかレンタルビデオだったかで観たことがありました。ジェイムズ・ガーナーやイヴ・モンタン、カーク・ダグラスなど当時のスター俳優がF1レーサーを演じたハリウッド作品です。F1参戦中のホンダをモデルとしたであろうヤムラモータースのオーナー、ということは本田宗一郎を三船敏郎が渋く演じています。

日本映画では、『栄光への5000キロ』(1969年)で石原裕次郎がサファリラリーに挑むという大作がありました。これも劇場ではなく、ずっと後になってBSで放送されたものを観たことがあります。他にも、たくさんのモータースポーツを題材にした映画がありました。

多くの作品は、どれも優れたエンターテインメント作品に仕上がっていました。レーサーたちがいかにして勝利を収め、チャンピオンの座に就くのか。そのプロセスそのものが物語となります。

いずれも、娯楽映画として満足できるレベルに達していながら、F1レースとは、ストックカーレースとは、ルマン24時間レースとは何かなどに対する啓蒙効果も大きく果たしていました。