仕事を辞めた途端、無表情になった認知症妻が「奇跡的な回復」…!認知症薬より効果があった、看取り医の「突拍子もない提案」

AI要約

仕事の引退が認知症のリスクを高める可能性がある。生活環境の変化がコミュニケーションや運動不足を引き起こすことによる影響が考えられる。

店を閉めた後、妻は認知症の症状を示し始め、深夜に店を開けて客を待つような行動を取るようになった。夫は心を痛めていた。

夫は妻が認知症になったことを苦しみ、治療の効果を求めるも、認知症は治らない現実を受け入れることとなった。

仕事を辞めた途端、無表情になった認知症妻が「奇跡的な回復」…!認知症薬より効果があった、看取り医の「突拍子もない提案」

茨城県つくば市で訪問診察を続ける『ホームオン・クリニック』院長・平野国美氏は、この地で20年間、「人生の最期は自宅で迎えたい」という様々な末期患者の終末医療を行ってきた。6000人以上の患者とその家族に出会い、2700人以上の最期に立ち会った“看取りの医者”が、人生の最期を迎える人たちを取り巻く、令和のリアルをリポートする――。

仕事の引退が認知症のリスクを高める可能性があるという話は、よく耳にする。実際、定年を迎えた途端、どんどん体調が悪くなり、認知症にもなった患者も目にしてきた。仕事を引退したことで、外出の機会が失われ、運動不足になり、外部との接触が減ったことによるコミュニケーションの減少などの生活環境の変化が、認知症のリスクを高めると言われている。

佐川早苗さんのケースでも、夫婦二人三脚で半世紀近く続けてきた中華料理店を閉めたことで、百からゼロという急激な変化を妻に与えたのかもしれない。

前編「「妻が認知症になったのは俺のせいだ」と夫が大後悔…仇となった「妻のための一大決心」の中身と、夜が明けるまで夫婦で泣いた日」より続きます。

早苗さんは店を閉めてから程なくして、毎晩、目覚ましもかけていないのに、午前2時になると2階にある居住区から店に降りて行き、時には入り口の扉を開けて、決して来ない客を待つようになった。夫の聡さんは心を痛めていた。

「娘に『病院で診断を受けたほうがいい』って強く言われてさ、物忘れ外来にも連れて行ったんだよ。やっぱり認知症だった。本当にまいった。あいつ、たった半年前まで店の会計もできていたのに、認知症検査をしたら簡単な足し算や引き算ができなかったんだよ。

先生には『認知症ですね』って言われて、薬が出されたよ。藁にもすがる思いで飲ませたけれど、飲んでも効きやしなかった。認知症はもう治らないんだな…」

妻が目を開けた。私と目が合うと「いらっしゃい」と笑った。まどろみながら、彼女の心は今も店に立っているのかも知れないと感じた。