貝印の電動小型ホイッパー「生クリッチ」を衝動買いしたワケ(多賀一晃/生活家電.com)

AI要約

専用の家電があるにも関わらず、他の家電で同じことを行う人がいることについて

趣味を追及するうちに、こだわりが「道」となり、道楽になることについて

生クリームを使ったウインナコーヒーを作るために、優雅なフォルムの生クリーム用ホイッパーを購入した話

貝印の電動小型ホイッパー「生クリッチ」を衝動買いしたワケ(多賀一晃/生活家電.com)

【家電のことはオイラに聞いて!】#60

 他の家電でもできることを専用の家電でしたいことがあります。トースターなどが典型例です。匂いが気になるからとオーブントースターをパンのトーストだけに使っている友人もいます。

 昭和のアナログオーディオもそうでした。オーディオは音が変わることを楽しむ趣味ですが、こうすれば「音が変わる」が、いつしか「こちらの方がいい音」、そして最後は「こうしなければならない」と変化していきます。

 ベルリンフィルの生演奏を聴いたこともない学生が、ベルリンフィルの音はこうあるべきだなどと口から泡を飛ばして熱弁をふるってカネを注ぎ込む。コスパの悪い趣味。いわゆる「道楽」。「こだわり」というより、もはや「道」と呼んでもいいでしょう。

 オーディオにはなぜかコーヒーがつきもので、マニアは皆、一家言ありました。今のようにスペシャルティーコーヒーがない時代。不良豆が混入しているコーヒーに対して、あーでもないこーでもないと口から泡を飛ばしながら、自分の入れ方が一番と言うのですから、ほんと怖いもの知らずでした。

 オーディオが趣味の私も、コーヒーにハマりました。私の場合は生クリームてんこ盛りのウインナコーヒーです。「パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃない」と言ったとされる、マリー・アントワネットはウィーンのハプスブルク家の出身。私はウィーン=金持ちと勝手にイメージをし、ウインナコーヒーは、その象徴になってしまったからです(笑)。

 ウインナコーヒーが好きなのに、私は最近まで自宅では入れませんでした。理由は簡単。生クリームをハンディーブレンダーで混ぜるのが嫌だったからです。ハンディーブレンダーは、あらゆる食材で使うもの。キレイに洗っても、なんとなくほかの食材に使うのは躊躇します。お菓子作りに使う大型のハンドミキサーも持っていますが、ウインナコーヒー一杯分を作るには巨大すぎます。コーヒータイムなので、できる限り優雅に臨みたい。無骨なガラスボールの周りを氷で固めたり、いかにも調理機器というのはごめんです。

■優美さを秘めたフォルムが魅力

 そんな私が今年、衝動買いしたのが貝印の「生クリッチ」。どことなく優美さを秘めたフォルムが魅力な電動の小型ホイッパーです。密閉型のため生クリームが周りに飛び散らない。しかも確実に膨らんでくれます。2分もあれば十分。クリームも熱を帯びません。

 なんでも、社内で生クリームを愛してやまない人が開発したのだとか。万事、心得た仕様です。コーヒータイムがさらに充実しました。

 値段はメーカーのオンラインストアで、8800円という道楽プライス。ですが、ためらわずポチりました。驚いたのは、すぐ売り切れてしまったことです。生クリーム愛好家は結構いるようです。たまには目くじらを立てられないレベルの衝動買いをするのもいいものです。

(多賀一晃/生活家電.com主宰)