骨折したら…添え木や三角巾を使って固定することを考える【災害時の応急処置】

AI要約

骨折時の応急処置について、添え木や三角巾を使用して固定し、清潔な状態を保つことが重要である。

添え木にはさまざまな素材を活用できるため、即席の添え木を作る方法も紹介されている。

開放骨折の場合は無理に骨を戻さず、清潔なガーゼやタオルで覆い、感染防止処置を行う。

骨折したら…添え木や三角巾を使って固定することを考える【災害時の応急処置】

 災害時のケガとして多くの人が不安に思うことのひとつが「骨折」ではないだろうか。家が倒壊し、がれきの中で、自分あるいは家族が骨折して取り残され……。想像しただけでも絶望的な状況だ。そんな時、どのように応急処置をすればいいのだろう。

「病院で診てもらうまでは、できるだけ動かさないというのが原則です。変形した状態を元に戻す必要はありません」

 こう話すのは、東京消防庁救急部の上曽一永消防司令補だ。

「腕や足を骨折したときに、一般の方ができる応急処置となると、『添え木や三角巾を使用して固定する』ことを考えてください。悪化防止となり、移動する際の痛みを和らげることもできます。添え木に関しては、手近にちょうどいい長さの板がない場合もあるでしょう。その際は段ボールや新聞紙、雑誌などを添え木の代わりに使用してください」

 添え木は硬くて長さがあるものならなんでもいい。たとえば自宅であれば、毛布や傘、長い靴べら、突っ張り棒、定規、子供用のバットなども添え木として使えるという。また、雑誌の長さが足りないときは、2冊を組み合わせて1本の添え木にする方法もある。2冊の雑誌を、骨折の箇所に必要な長さになるよう上下に並べ、一部を重なるようにする。トランプのカードをシャッフルする時のように、ページが互い違いになるよう組み合わせると、強度と長さを備えた即席の添え木が完成する仕組みだ。

「骨が皮膚を突き破って露出してしまっている場合は、それを無理に戻そうとしないでください」と警告するのは、同じく東京消防庁救急部の木村和巳消防司令だ。

「そもそも痛みが強くてそんなことはできないと思いますが……。開放骨折というのですが、そのような骨折に関しては、なるべく清潔に保ちたいので、できれば清潔なガーゼやタオルなどで覆う感染防止処置をしていただきたい。雑菌などで汚染された状態で体の中に戻してしまうと、感染症になる恐れがあります」

 骨折時は添え木や三角巾を使用して固定し、清潔な状態を保つ。それだけは覚えておきたい。