山中で発見された謎の埋蔵銭の特別企画展 7~15世紀に中国、朝鮮で鋳造された通貨など展示 佐賀県多久市

AI要約

16世紀ごろに佐賀県多久市多久町撰分(えりぶん)の山中に埋められた埋蔵銭の特別企画展が開催中。溶着した青銅の塊や中国や朝鮮で鋳造された通貨などが展示されている。

地元住民が発見した埋蔵銭は約7・6キロで、2100枚以上の通貨が含まれている。700年から1400年代までの中国、朝鮮の通貨や織田信長の旗印に使われた銭が特定されている。

過去の他地域の発見例と同様に、埋蔵の目的や理由は不明。しかし、多久地域の経済活動や歴史を知る貴重な資料となる可能性がある。

山中で発見された謎の埋蔵銭の特別企画展 7~15世紀に中国、朝鮮で鋳造された通貨など展示 佐賀県多久市

 16世紀ごろに佐賀県多久市多久町撰分(えりぶん)の山中に埋められたとみられる埋蔵銭の特別企画展が、市郷土資料館(多久市多久町)で開かれている。年月の経過でほとんどが溶着した青銅の塊や、7~15世紀に中国や朝鮮で鋳造された通貨などを展示している。入場無料、9月1日まで。

 埋蔵銭が発見されたのは、ミカン畑が広がる標高約140メートルの山の斜面で、石ころが転がっている場所に露出した状態だった。地元住民が警察に届け出た後、資料館に寄贈した。

 埋蔵銭の塊などの総重量は約7・6キロで、総数は2100枚以上と推定される。そこから136枚を切り離し、50枚の文字を判読できた。中国の唐代、五代十国時代(南唐)、宋代、明代に加え、李氏朝鮮の20種類を確認した。文字のない私鋳銭も含まれている。

 判別できた通貨の中で最も古いのは「開元通宝」(初鋳・唐代621年)で、新しいのは「朝鮮通宝」(初鋳・李朝1423年)。織田信長が旗印として使った「永楽通宝」(初鋳・明代)もある。埋蔵銭と一緒に発見された埋蔵容器の破片は、中国製褐釉四耳壺(かつゆうしじこ)で、16世紀ごろのものとみられる。

 過去の全国各地での発見例からも、埋蔵の目的や理由ははっきりと分からないという。藤井伸幸館長は「戦国時代から安土桃山時代にかけ、多久地域に生きた人々の経済活動を知る手がかりになる。この機会に観賞してほしい」と話している。

(庭木香充)