大学3年の夏は「インターンシップが当たり前」 多種多様なメニューで学生との接点づくりに励む地方の中小企業「大企業に負けられない」

AI要約

2023年度、宮崎県内の大学等卒業者の県外への就職内定者の割合は56.7%であり、学生にとってインターンシップが重要な就活の場となっている。

県内企業も多様なメニューを用意し、学生との接点づくりに励んでおり、売り手市場の就職戦線が進行中である。

大手企業との戦いが必須とされる中、中小企業もインターンシップの受け入れが重要となっている。

大学3年の夏は「インターンシップが当たり前」 多種多様なメニューで学生との接点づくりに励む地方の中小企業「大企業に負けられない」

2023年度、宮崎県内の大学等卒業者の県外への就職内定者の割合は56.7%と半数を超えている。さらに、マイナビのデータによると、大学3年生と大学院生への全国調査では82.3%が5日以上のインターンシップや企業説明会などに申し込んでいる。売り手市場の今、企業側にとっては、夏場のインターンシップが翌年の採用がうまくいくかどうかカギを握る場となっている。

鹿児島出身・宮崎公立大学3年生:

鹿児島で5日間のインターンシップに参加するのと、WEBの説明会に2社申し込んでいる。

大分出身・宮崎大学3年生:

熊本で5日間のインターンシップと、せっかくなので1日体験を何個か入れていこうと思っている。

今や大学生にとって、参加することが当たり前となっているインターンシップ。県内企業も多種多様なメニューを用意して、学生との接点づくりに励んでいる。

6月29日と30日の2日間、宮崎市で「インターンシップ&キャリア発見フェア」が開かれた。就職活動サイト運営大手・マイナビが開いたもので、県内に事業所を置く46社が参加した。

延岡市に本社を置く清本鉄工。本格的にインターンシップに取り組み始めたのは2023年からで、1泊2日での会社見学や5日間の設計業務体験などのメニューを設けた。

「インターンシップを受けて選考に進むのが当たり前という学生が多いので、やらざるを得ない。東京の企業が早期から選考やインターンシップをやっていたりする実情があるので、同じ土俵で戦おうと思ったら、早期からやっていかないと厳しい」と清本鉄工人事総務課 魚返悠さんは言う。

売り手市場の就職戦線。企業がインターンシップに取り組む理由は他にもあった。

出先リテールマーケティング本部 赤松あゆみ部長:

インターネットやSNSでは伝えきれないリアルな部分を実際に体感することで、会社の雰囲気を感じてもらえると思って、インターンシップを取り入れている。

マルイチ採用担当 甲斐聖海さん:

会社に入ってもらった時にギャップがなくなるようにというのがひとつ。直にお客様と、人と対面して、人と協力して仕事をしていく楽しさを知ってほしい。

企業がインターンシップに力を入れる背景には、就職後のミスマッチを防ぐ狙いもある。

大学3年生の就活スケジュール。2025年3月1日から企業の就職説明会がスタート。4月に4年生になると、6月には企業の選考が始まる。

「3月1日以降、すぐに面接・採用試験という形になっていて、十分に業界・企業・仕事の理解ができないまま内々定をもらって就職している。先輩たちの就活を見ていると、3月から動いていては理解が浅かったという情報も聞いているのでは」とマイナビ宮崎支社 亀澤文二支社長は語る。

大学生は、就活への不安を解消するために、県内外を問わず複数の企業のインターンシップや仕事体験に参加する傾向が高まっている。

鹿児島出身・宮崎公立大学3年生:

会社の雰囲気を知れたらと思って参加を決めた。

大分出身・宮崎大学3年生:

これ合っているな、これ違ったな、というのを考える材料になると思うので、インターンシップには行こうと思っている。

県内出身・宮崎産業経営大学3年生:

県内に自分のしたい仕事があったら県内だし、県外にもしあったら県外。どっちでも良いと思う。

県内では、2018年度に卒業した大学生の3年以内の離職率が37.7%と、全国平均より6.2ポイント高い傾向にある。加えて、2023年度、県内の大学等卒業者のうち、県外内定者の割合は56.7%と半数を超えている。

マイナビ宮崎支社 亀澤文二支社長:

宮崎は特に宮崎在住の学生が県外に出ていく。それを解消するには、大手企業との戦いが必須となる。インターンシップ、仕事体験を通して大手がやることをそのまますることは難しいが、少なからず学生に理解してもらう努力は必要と思っています。

県内の中小企業にとって、インターンシップの受け入れは準備などの面で容易ではないが、学生と早く接点を持ち、就職先として選ばれるためには、避けては通れない道となっているようだ。

(テレビ宮崎)