具どころか薬味さえもつけぬ潔さ!一口啜れば、輪郭のはっきりした凜とした味わいの中にふくよかな出汁の旨みが…手打ちソバ「成富」

AI要約

成冨の夏の風物詩「冷かけそば」は、透けるようなかけ出汁と蕎麦の涼やかな一杯。

具は一切なく、羅臼昆布と本枯節を使用してクリアな味わいを追求。

せいろ1320円~の冷かけそばは、出汁と蕎麦だけでも美味しいが、夏季限定の蓴菜や天ぷらもおすすめ。

具どころか薬味さえもつけぬ潔さ!一口啜れば、輪郭のはっきりした凜とした味わいの中にふくよかな出汁の旨みが…手打ちソバ「成富」

ガラスの器に透けるように張られた、たっぷりのかけ出汁。その中に揺蕩う麺も涼やかなご覧の一杯が、「成冨」の夏の風物詩「冷かけそば」だ。

具は一切なし。薬味さえもつけぬその潔さに、ご主人成冨雅明さんのこだわりが伝わってくる。

元来、蕎麦屋の出汁といえば、鰹の厚削りや鯖節、宗田節などを用い、力強い出汁を取るのが常套だが、成冨さんは雑味なくクリアな味を求め、使うのは羅臼昆布と薄削りの本枯節、それも、血合い抜きという徹底ぶりだ。割烹の吸い地を思わせる品のよさながら、そこに干し椎茸を加えて旨みの底味を引きあげている。

一口啜れば、輪郭のはっきりした凜とした味わいの中、ふくよかな出汁の旨みが舌に広がる。その出汁に、十割で打つ蕎麦がキリリと絡む。

蕎麦は、成冨さんが吟味を重ねて選んだ茨城は山方の「常陸秋そば」。風味の高さと穀物感豊かな味わいが特微だ。

出汁と蕎麦、それだけで十分美味だが、これからの季節、蓴菜(じゅんさい)を浮かべた冷かけそばも夏ならではの佳品。合いの手には、旬の素材が楽しみな揚げたての天ぷらもおすすめだ。

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●東京都中央区銀座8-18-6

●電話:03・5565・0055

●11:30~14:00(L.O.13:55)、18:00~20:30(L.O.19:45) 土・日・祝日休

●昼/せいろ1320円~、夜/一品料理990円~(夜は要予約、1人770円の席予約料がかかる)

●アクセス/東京メトロ、都営地下鉄東銀座駅より徒歩5分、都営地下鉄築地市場駅より徒歩3分

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(撮影=上田佳代子)