新米4割~5割高で「大盛り無料」「おかわり自由」が消える? “食卓の砦”値上げいつまで

AI要約

コメの価格が高騰している要因として、令和5年産米の在庫不足と需要増が挙げられる。早場米の卸値も5~6割高騰し、需要の高まりによる異常値も見られる。

新米出荷のピークを迎える9月以降には少し落ち着くと見られるが、今年のコメ価格が昨年より高水準である可能性がある。

天候の影響や害虫被害などが収穫量に影響を及ぼし、コメの価格高騰は当分続くと考えられる。

新米4割~5割高で「大盛り無料」「おかわり自由」が消える? “食卓の砦”値上げいつまで

 卵やモヤシとともに物価の優等生とされたコメの価格が高騰している。農水省によると、令和5(2023)年産米の6月の価格がおよそ11年ぶりの高値となり、7月収穫の早場米の卸売価格も5~6割ほど高い。理由として流通米の在庫不足と需要増が挙げられる。「大盛り無料」「おかわり自由」がウリの飲食店では見直しを迫られているという。コメの値上がりと品不足はこのまま続くのか。

「昨年のこの時期の新米は店頭価格が5キロ当たり1880~1980円でしたが、今年は2600~2800円で値づけされ、4~5割高くなるもようです。足元の九州産の価格は、昨年の新潟・魚沼産より高い状況です。令和5年産米の在庫不足の一方、新米が出始める端境期で、旺盛な需要のため、より高く売れることからつけられた異常値と見ていいでしょう」(米流通評論家・常本泰志氏)

 新米出荷のピークを迎える9月以降に多少落ち着くと見られるが、昨年より価格が高水準なのは間違いないとのこと。

「スーパー、飲食店などに卸すため数量が欲しい業者の在庫状況は、どこも例年の70%程度とされています。そのため、今は赤字でも在庫を確保して、9月にたくさん出荷され、価格が安定する関東、北陸のものでつじつまを合わせようとしているところが多い印象です。しかし、例年以上の猛暑と害虫の影響で、今年の新米も質量の低下が懸念されています」(常本泰志氏)

 昨今は高温耐性米が流通しているが、全体としてはまだ少量で多くの農家で品種変更が進んでいないため、例年の猛暑に追いついていない。

「高温障害でコメが白濁したり品質が悪化しやすいですが、昨今増えているスコールの影響も見逃せません。局地的に豪雨に見舞われた後、急速に晴れることで、コメの胴割れが起こりやすくなります。さらに、イネカメムシやウンカといった害虫が例年以上に増えるとの観測も出ていて、これは収穫量に影響を及ぼします。コメの不作と価格高騰は天候が変わらない限り、当分続くと思われます」(常本泰志氏)

 しかし、コメの価格高騰も他の食品に比べればまだ微々たるものだ。

「高くなったとはいえ、5キロ2600円でもお茶碗1杯当たり40円弱です。肉や魚、野菜などの値上がりに比べれば、まだ安いほうでしょう」(常本泰志氏)

 コメが日本の“食卓の砦”である状況に変わりない。