[バイクDIYメンテ] 花びら状のギザギザ突起が静電気除去を促す〈水冷&2ストローク車の除電事例紹介〉

AI要約

静電気対策が重要視される製造現場や車両において、静電気による影響やその除去方法が注目されている。

トヨタやNGCジャパンが静電気対策製品を開発し、静電気の影響を改善する取り組みが進められている。

静電気の影響を軽減するため、車体各部に施された静電気除去機構や帯電除去装置が効果を発揮し、走行性能の向上につながっている。

[バイクDIYメンテ] 花びら状のギザギザ突起が静電気除去を促す〈水冷&2ストローク車の除電事例紹介〉

電子機器や産業機器の製造現場では、古くから製品の品質や機能に影響を与えることが知られ、さまざまな手段が講じられてきた静電気対策。バイクや車のジャンルでは今もオカルト的に捉えられることもあるが、ギザギザの花びらによる除電効果の認知度は確実に向上している。

車のドアノブなどに触れる際にバチッ!と感じる衝撃で意識することも多い静電気。トヨタ自動車が以前に発表したアルミテープによる除電メカニズムは、静電気が車やバイクに与える影響を改めて意識させる契機になったのは間違いない。

2018年に帯電除去装置・スムースドライブシステムで特許を取得したNGCジャパンもまた、早い時期から車やバイクにおける静電気の弊害に着目し、除電製品の開発を行ってきた。

エンジンや車体の金属部品/エンジンに吸入される空気/冷却水/潤滑用のオイルなど、静電気は固体/液体/気体を問わず発生する。また金属のような導体だけでなく、ゴムやプラスチックのような絶縁体にも発生する。導体の静電気は導体を伝わって移動できるが、絶縁体に発生した静電気はその場に留まるため、抵抗の原因となる。

ここに注目して開発されたのが、車体各部に使用されているボルトやナットを利用して静電気を除去するスムースドライブシステムである。そのカギとなるのが、先端を鋭くカットした花びら状のギザギザ部分。エンジンや車体各部に帯電した静電気はこの突起の先端から空気中にコロナ放電されて、帯電が解消するという。

ひと昔前ならオカルト扱いされかねない考えだが、トヨタがアルミテープをバンパーに貼るだけで走行性能が向上することを証明したことも、静電気に関する意識を大きく変えるきっかけとなった。

そのNGCジャパンが最近注力しているのが、ラジエーターホースバンドタイプのスムースドライブである。エンジン内部を循環する冷却水はラジエーターホースやラジエーターコアなど冷却系統各部で通路径が変わるため静電気が発生しやすく、スムーズな循環を妨げる抵抗となる。そこでラジエーターホースバンドに花びら突起を付けた製品を開発した。

◆エンジン関連はインシュレーターバンドボルトとエアクリーナー側バンドボルトやナットの交換が優先で、さまざまなサイズを用意している。オーダー頻度が高い機種は、必要なアイテムをセットにした車種別キットも用意されている。

◆ホースバンドタイプはボルトやナットよりも汎用性が高く、ラジエーターだけでなくバイクのフロントフォークにも装着できる。各製品の価格はホームページで確認しよう。

またこのところ、2ストローク車ユーザーにも愛用者が増加中とのこと。ここではホンダCRM250Rにスムースドライブシステムを装着したUさんの感想を紹介しよう。

「エンジン関連では、シリンダー側はRCバルブカバー、シリンダーヘッドはラジエーターホースバンド、キャブレターインシュレーターとインテークマニホールドに取り付けて走行したところ、エンジン始動と同時にエンジンノイズが低減していることが実感できました。

このバイクは元々硬質な振動が強く感じられましたが、装着後は空ぶかししただけで吹け上がりがスムーズで気になる振動が抑制されています。

ローギヤに入れて走り出した時の、スロットル低開度域でのスムーズな行儀良さ、具体的には開度1/8あたりのパーシャルでのクルージングの気持ち良さも格別です。

2スト250ccで低開度走行を行うと、燃焼状態に引っかかりやしゃくりが出るのは仕方ないと思っていましたが、それがほぼ抑えられています。そしてそこから少し開けていった時の分厚いトルク感には、思わず“速っ!!”と声が出てしまいました」

これほど明確な違いが生じるのはなぜか。理由は単純で、実例を紹介したCRM250Rに限らず、トヨタがアルミテープを発表する以前には、静電気の除去を意識した市販車が存在しなかったからだ。

「たかがギザギザの突起で何が変わるのか」と疑う人の多くが、実感できる変化に驚くというスムースドライブシステム。ドライバーやレンチ1本でその効果を体感してみてはいかがだろう。