からだのニオイが気になる季節… 最新の研究で判明したニオイ発生メカニズムと対処法

AI要約

汗自体は無臭であり、ニオイの原因は皮膚から発生する「皮膚ガス」である。このガスの発生源を理解し、適切なケアを行うことが重要である。

ニオイのルートには表面反応、皮膚腺、血液の3つがあり、それぞれに特定の対策が必要となる。

夏でも汗臭さを放置せず、紫外線を避けたり、常在菌の繁殖を抑える取り組みをすることで、快適な夏を過ごすことができる。

からだのニオイが気になる季節… 最新の研究で判明したニオイ発生メカニズムと対処法

この時期、気になる“からだのニオイ”。暑くて汗をたくさんかくんだから仕方ないでしょうって? いえいえ、実は汗自体は臭くないんです! 最新の研究で判明した、“なぜからだはニオうのか”、そのメカニズムをご紹介します。

* * *

▶教えてくれたのは

関根嘉香先生

東海大学理学部化学科教授。室内環境汚染について調査する中で、「皮膚ガス」を検出したことを機に研究に着手。以来、皮膚ガス研究の第一人者として、医療や生活用品への応用などに取り組んでいる。著書に『皮膚ガスのはなし 体臭は心と体のメッセージ』(朝倉出版)。

■汗自体は臭くない!?

汗ばむ季節になると、気になるのが体臭です。ニオイの原因は汗だと思いがちですが、実は汗はほぼ無臭。体臭のメカニズムに詳しい関根嘉香先生によると、皮膚から発生する「皮膚ガス」こそが、ニオイの原因なのだそう。

「皮膚ガスの発生ルートは3つあり、それぞれ成分は異なります。ガスの発生を止めることはできませんが、成分に合った対策を行えば不快なニオイを抑えることは可能です。まずは気になるニオイの原因を確認し、適切なケアを行ってくださいね」(関根先生)

ニオイの元となる「皮膚ガス」から不快なニオイを出させないためにも、ニオイのルートを知ることは重要。ここでは、代表的なニオイのルート3つをご紹介します。

■【夏こそ注意!】ニオイのルート1「表面反応」由来

皮膚表面に存在する常在菌は、汗や皮脂を食べて皮膚ガスを発生しますが、これが汗臭さの原因になります。さらに恐ろしいことに、ガスは皮膚自体からも発生するのだとか…。「皮膚は酸化することでもガスを発生しますが、このガスが加齢臭と呼ばれるものです」(関根先生)

日傘や帽子で、皮膚を酸化させる要因である紫外線を避ける工夫をしたり、抗酸化力の高い食品を食事に取り入れるのもいい方法です。

■【夏こそ注意!】ニオイのルート2「皮膚腺」由来

汗をかいたときに汗腺や皮膚腺から発生する皮膚ガスはお酢のようなニオイがするものの、ほぼ無臭です。とはいえ、放置していいわけではありません。ポイントは、こちらも“常在菌”。「汗は常在菌の餌になるため、放置すると不快なニオイの原因に」(関根先生)。

常在菌の餌にならないよう、汗をぬれたタオルでこまめに拭いたり速乾性の高い下着を着用する、といった方法が効果的です。

■油断大敵!ニオイのルート3「血液」由来

季節にかかわらず注意したいのが、血液由来のニオイ発生ルート。お酢やにんにくを摂取したあと、からだがニオうと感じるのは、血液の中を流れるそれらの成分がガスとして放散されるからなんです。さらに、血液由来のニオイの原因は食べ物以外にも…。「最近よく耳にする疲労臭も、こちらに分類されます」(関根先生)。ニオイが気になるこの季節は食べ物にも注意したいところですね。

* * *

夏は汗臭くても仕方ない…と思考停止せず、しっかり対策してニオわない爽やかな夏を過ごしたいですね!

取材・文/恩田貴子 イラスト/カシワイ