犬や猫の目ヤニ、耳のかゆみ…夏の症状はコレでよくなる【ワンニャンのSOS】

AI要約

目ヤニが増える原因や涙の乾燥による問題について説明。

過剰な検査や処方薬を避け、目ヤニの対処法やムズムズ感の解消方法を紹介。

正しい対応で問題ない場合は自宅でのケアで十分だが、症状が続く場合はかかりつけ医に相談。

犬や猫の目ヤニ、耳のかゆみ…夏の症状はコレでよくなる【ワンニャンのSOS】

【ワンニャンのSOS】#71

 この時季は、ワンちゃんもネコちゃんも、目ヤニが増えることがあります。エアコンによる乾燥が原因で、ネコちゃんの方がひどくなりやすい傾向です。涙が乾くと、ゼリー状になり、目の際に付着。それが涙の分泌口を塞ぐと、涙の供給が途絶えて、目の乾燥が悪化するのです。

 目の潤いが保たれていると、毛やホコリが入ってもまばたきでそれらが目尻の方に運ばれて自然と排出されます。しかし、ドライアイでは、その排出機能がうまく働かず、目をこすってしまい、2次的に角膜や結膜を傷つけやすいのです。

 先日、別の動物病院で角膜潰瘍と診断された3歳のワンちゃんが受診されました。目ヤニで目が開けづらくなり、角膜を傷つけてしまったのでしょう。

 確かに角膜に傷はありましたが、問題はその処方の経緯です。涙の流量を調べる検査の末、涙の出がよくないことを指摘され、免疫抑制剤を用いた点眼薬が処方されていました。

 このワンちゃんは、ゼリー状のものが涙の分泌を阻害しているだけで、このフタを取り除けば、涙は出ます。免疫抑制剤の処方は、明らかに過剰治療です。では、どうするか。朝晩に1回ずつ、そのゼリー状の目ヤニのようなものを、ティッシュなどで取ってあげれば十分です。次第に涙が出やすくなります。この際、目を突かないようにだけ注意することが必要ですが、作業はそれだけ。

 涙の流量検査は「シルマー紙テスト」で、症状があるときに行っても正確な結果は得られず、不正確な結果から「涙の出が悪い」↓点眼薬の処方はちょっと理解できません。潰瘍が治った段階でのシルマー紙テストなら理解できますが。この点眼薬を、涙が出る子に使い続けると、涙を出せなくなってしまうのです。ですから、その点眼薬は使わなくていいですよ、と伝えました。

 この時季、耳の裏をかゆがるワンちゃんもいます。飼い主さんは皮膚炎や外耳炎などをイメージするかもしれませんが、多くはそうではありません。この時季特有の換毛に伴うムズムズ感が原因です。

■検査や薬は必要ない

 前述のような過剰な検査や治療に誘導する病院では、ホルモンを定量する検査や薬が処方されることもありますが、そこまでは必要ありません。目の粗いタイプのブラシでムズムズしている部分をよくブラッシングしてあげると、換毛がうながされて、ムズムズ感の解消になります。

 ムズムズ感の強さでかき壊していると、2次的な皮膚炎を起こしていることもありますので、炎症があったり、ブラッシングを痛がったりする場合はかかりつけ医に相談するとよいでしょう。そうでなければ、目ヤニと同様にご自宅での対応で十分です。

(カーター動物病院・片岡重明院長)