友人が「博士号」を取得して研究職の仕事をしていますが年収は300万円だそうです。大学院まで進学したのに、なぜこの収入なのでしょうか?

AI要約

博士号取得者の年収には期待されるほどの高額な給与を得ているケースが少なく、300万円未満の年収も多いことが分かっています。

博士号の取得には通常5年以上の大学院生活が必要であり、修士号を取得した後に博士号を取得するプロセスを経ることが一般的です。

文部科学省の調査によると、博士号取得者の過半数が平均給与よりも低い給与を得ており、研究職における高年収は実際には限られていることが示されています。

友人が「博士号」を取得して研究職の仕事をしていますが年収は300万円だそうです。大学院まで進学したのに、なぜこの収入なのでしょうか?

大学院の「博士課程」や「博士後期課程」を修了した人に認められる「博士号」。博士号は高い学位の1つであるため、取得して研究職などにつくと高年収をもらえるイメージがあるかもしれません。

しかし実際には、博士号を持っていても給与所得者の平均年収に満たない可能性があります。

本記事では、博士号の概要について解説しつつ、博士課程取得者の年収や課題についてご紹介します。

「博士号」とは、大学院の「博士課程」に3年以上在籍して、所定単位の修得や試験合格などにより認められる学位です。「課程博士」と呼ばれることもあります。

混同されやすいものに「修士号」があります。修士号は大学院で2年以上「修士課程(博士前期課程)」に在籍し、所定単位修得や試験合格などを経た人に与えられる学位です。つまり修士号取得者が博士号も得られるわけで、博士号取得には一般的に合計5年ほど(優秀な学生は3年ほど)大学院に在籍する必要があります。

なおこれは「区分制博士課程」の説明であり、博士課程が前期・後期に分かれていない「5年一貫制博士課程」もあります。ただし「区分制博士課程」の方が圧倒的に多いです。

別の点として、博士号には「論文博士」もありますが、こちらは提出した博士論文が審査に合格した場合に与えられるものであり、博士課程に在籍する必要はありません。

大学院で何年もの間学業に取り組んだ博士号取得者であれば、高年収を得られるように思えるかもしれません。しかし今回のケースのように、研究職についていて年収300万円しか得られないケースもあるようです。

文部科学省が博士課程修了者を対象に行った2022年の調査によると、おもな雇用先での年間所得は表1の通りです。

表1

※文部科学省「博士人材追跡調査-第4次報告書-」を基に筆者作成

「400万円~500万円未満」と回答した割合がもっとも多い14%で、「300万円~400万円未満」が13.5%、「500万円~600万円未満」が11.8%と続いています。500万円未満の年間所得を得ている人の割合は約5割です。

国税庁によると、令和4年における平均給与は458万円です。つまり過半数の博士号取得者は、平均給与と大差ないか、それよりも低い給与を得ている可能性があります。