道交法改正から1年…電動キックボードと車&歩行者との共存の現在地は 『LUUP』代表に聞く

AI要約

改正道路交通法の施行から1年が経過し、電動キックボードを含む新しい乗り物の利用が増えたが、悪質走行に対する批判も根強い。

シェアリングサービスの『LUUP』が悪質走行への厳罰化を盛り込んだ「安全・安心アクションプラン2024」を発表し、悪質走行者排除に取り組む意向を示している。

厳罰化制度の実効性や考えられるデメリットについて、議論が広がっている。

道交法改正から1年…電動キックボードと車&歩行者との共存の現在地は 『LUUP』代表に聞く

 改正道路交通法の施行から1年が経過し、電動キックボードをはじめとする新たな乗り物を街で見かけることも増えた。利用者には便利な一方で、悪質走行への批判もいまだ絶えない。そうした中、シェアリングサービスの『LUUP』が交通違反者への厳罰化を盛り込んだ「安全・安心アクションプラン2024」を発表。電動キックボードの“代名詞”として注目を集めるLuupの代表取締役社長兼CEO・岡井大輝氏に、『LUUP』の非ユーザーの視点から質問をぶつけてみた。

──電動キックボード等の新たな車両区分を定義する改正道路交通法の施行から1年が経過しました。現在までの手応えを伺えますか。

「まずは当初の想定以上に利用者が増えたことをありがたく思っています。最近はマンションやオフィス、駐車場などのオーナーさまからポートを設置して欲しいという声も多くいただくようになり、近所にポートができるとまたユーザーが増えるという好循環が起きています。ただそれに伴い課題も浮かび上がってきました。1つは高まる需要に対して、車両とポートの供給がまだまだ追いついていないこと。そしてもう1つがユーザーの増加と共に、一部の利用者の悪質走行が目立つようになったことです」

──実際、Xでは悪質走行者を撮影した投稿が毎日のように見られます。

「これまでも弊社では、重大な交通事故に繋がりかねない危険走行については、アカウントを凍結する対策を講じてきました。しかし、それを上回る勢いで新規ユーザーが増えているのも事実です。多くのユーザーがLUUPの利便性を実感し、正しく利用されているにも関わらず、そうした方が肩身の狭い思いをされるのは、本意ではありません。街の安全の観点からも、サービスの持続性の観点からも、これまで以上に悪質走行者を弊社のサービスから排除するような取り組みを強化していきたいと考えています」

──このたび発表された「LUUPの安全・安心アクションプラン2024」には、違反者の厳罰化制度が盛り込まれています。どのような内容なのでしょうか。

「一度でも重大な交通違反をしたアカウントは、これまで同様に無期限凍結します。加えて軽微なものを含め、取り締られた交通違反に対して違反点数を加算し、一定の点数に達したアカウントを30日間凍結します。その後、年内に一度でも違反走行で取り締まりを受けたら、無期限凍結となります。この制度の運用により、悪質なアカウントを物理的にゼロに近づけていきたいと考えています」

──厳罰化の実効性はどの程度あると思いますか?

「重要なのは軽微な違反も“罰点の対象”としたことです。電動キックボードの検挙の9割は信号無視と通行区分違反。つまり交通違反だとわかってはいるものの、軽微だからと軽視してしまっているケースがほとんどなんです。交通違反点数制度は軽微な違反を繰り返させないため、誤って交通違反をしてしまった利用者に対する注意喚起にも十分機能するはずです」

──厳罰化によって想定されるデメリットはありますか?

「安全に利用していただいている方に対しては、不要なプレッシャーをかけてしまうかもしれません。しかしすべての利用者に緊張感を持って乗っていただくための取り組みは、“ソフトウェアとハードウェアを融合し、既存のバスや鉄道では実現できなかった新たな公共交通インフラを作る”ことを目指す弊社の企業姿勢として極めて重要だと考えています」