「引き込まれる『オモロイ純文学』、伝えていければ」 芥川賞の松永K三蔵さん一問一答
松永K三蔵さんが第171回芥川賞を受賞し、感謝の気持ちを表明
小説『バリ山行』は純文学だが読みやすく、幅広い読者にアプローチ
作品にはままならなさや個人の挑戦がテーマとして込められている
「バリ山行」で第171回芥川賞を受賞した松永K三蔵さん(44)が17日夜、東京都内で記者会見に臨み、受賞の喜びを語った。主なやりとりは次の通り。
--受賞が決まった今の気持ちは
「大変光栄です。ただ感謝、感謝の気持ちです。純文学といいますと、とっつきにくかったり難しいというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、今回私が書きました『バリ山行』は登山の小説でして、純文学になじみのない方も読みやすいのかなと思います。ぜひ面白い純文学もあるんだなということで、読んでいただければ」
--(候補入りしたときに)「普段の仕事で住民説明会でマイクを持つことがある。それより緊張するかも」とおっしゃっていましたが、今の緊張具合は
「大変緊張しております。普段以上です」
--純文学だが読みやすいものを心がけたということが評価された。その受け止めと、改めてご自身の中での「オモロイ純文学」についての思いは
「純文学というものは何かということはよく議論されるんですけれども、必ずしも難解である必要はない。読みやすく、とっつきやすいというのも入り口だと。どんな方にも読みやすく、引き込まれるような小説を、というのは思っています」
--受賞が決まって家族などの反応は
「父に電話したんですけれども出ず、メールをしたんですけど返ってこずでした。しばらくたってから返ってきたんですけど。あとは妻が喜んでくれました」
--今回の作品の中で書きたかったものは
「私が書きたいものはやはり、ままならなさ。社会であったり、世界であったり、ままならなさの中でいかに生きていくか。個人の挑戦のようなものと、葛藤ですね」
--この先も会社員の仕事は続けるのか
「働きながら書くという生活なんですけれども、やはり働く中で私自身も吸収することも多くありましたので、働きながら書いていきたいと思います」
--ファッションについて。帽子はいつ作った?
「デビューしたころですので、2021年ごろに作りました。ネットで特注で。サイクルキャップなんですけれども」