なぜ料理研究家の友人のキッチンが<素敵>に感じられたかというと…もの、時間、人。「ちょっと違う」という感覚から得られるものとは?

AI要約

「センス」とは後天的に身につけるものであり、統一感や違和感に敏感な人が持つものである。

「違うもの」をあっさり手放すことや「ちょっと違う」という感覚を大切にすることがセンスを示す行動である。

暮らしの心地よさや進歩は、何かを手放すことで手に入ることを理解し、常に成長を求める姿勢がセンスがいい人の特徴である。

なぜ料理研究家の友人のキッチンが<素敵>に感じられたかというと…もの、時間、人。「ちょっと違う」という感覚から得られるものとは?

「センス」と聞くと、生まれながらにもっているものという印象を受ける人がいるのではないでしょうか。しかし、「振る舞いや言葉など社会性をもった<センス>は、後天的に身につけるものばかり」と話すのが、約50ヵ国を旅した経験をもつ作家の有川真由美さん。今回は、有川さんの著書『センスいい人がしている80のこと』から、「センスがいい人」の考え方を一部ご紹介します。

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◆「違うもの」はあっさり手放す

料理研究家の友人が自宅のキッチンで「このピーラー(皮むきの調理道具)のメーカーが好きで、使いやすいんだけど、持ち手のパステルピンクが許せないの。ほかの色ができたら即刻、入れ替えたい」とつぶやいたことがありました。

見ると、素敵なキッチンは、木目調の家具をベースに、雑貨類はシルバーと白で統一されていて、たしかにパステルピンクだけ違和感がある。

「“違うもの”は置きたくない」という美意識が、独自の世界観をつくっているのです。

彼女のインテリアは、日本の骨董家具やミッドセンチュリー家具、旅先で買ってきた雑貨などあれこれ混ざっているけれど、ちゃんと統一感があるのは、色のトーンや落ち着いた雰囲気でまとまっていてそれを邪魔するものがないからでしょう。

そんな人の家は、シンプル、雑多、派手、地味、きれい、カッコいいなどテイストが違っても、共通しているのは“統一感”。

違う色や素材、雰囲気を組み合わせるにしても、うまく調和がとれているのです。

◆「ちょっと違う」という感覚

フランスで日本のアニメキャラクター「ピカチュウ」が好きだという若者の家に行ったとき、ピカチュウのポスターが、モダンな雰囲気の部屋に合うフレームで飾られていて、「ピカチュウがカッコいい!」と感動したことがありました。

独自の世界観をもっている人は、「ちょっと違う」と感じたら、あっさり手放すか、招き入れるときは、そこに馴染むように工夫しています。

ものだけでなく、時間の使い方、人づき合いでも「ちょっと違う」という心の違和感に敏感。

「これはやらなくてもいい」「割り切ってやる」「距離をもってつき合う」など主体的に調整していく。

手放すことはときに痛みを伴いますが、暮らしの心地よさや進歩は、なにかを手放さなければ、手に入れられないのです。

「ちょっと違う」という感覚は、いつも大切にしたいものです。