その言い方では伝わりません! 発達障害・グレーゾーンの人にわかってもらうコツは「まず本質から」

AI要約

発達障害の特性がみられるグレーゾーンの人々が周囲から「忘れっぽい!」と怒られる理由について、伝え方の重要性を強調している。

具体的には、情報を簡潔に伝えることで混乱を避ける方法や、会話を区切りながら進めることで相手に理解しやすくする方法が紹介されている。

自身の経験も交えながら、相手に理解してもらうためのコツや注意点が述べられている。

その言い方では伝わりません! 発達障害・グレーゾーンの人にわかってもらうコツは「まず本質から」

発達障害がある、あるいは発達障害の特性がみられるグレーゾーンの「あの人」のなかには、周囲から「忘れっぽい!」とよく怒られる人がいます。でも忘れる原因は「あの人」の側にばかりあるわけではありません。実は、こちらの伝え方のせいで不幸なすれ違いが起こっている場合もあるのです。どうすれば「あの人」に確実に言いたいことを届けられるのか。

【第1回】20万部超えの人気シリーズ著者がこっそり教えます! 専門家に教わった「発達障害・グレーゾーンの人」の行動がサクッと変わる「言い方」のコツに引き続き、『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』からお届けします。

忘れっぽい「あの人」に、忘れずに覚えていてほしいと思うことがあるなら、まずは伝え方を工夫する必要があります。

私たちが仕事の同僚や家族にする「頼みごと」は、込み入ったものであることがすくなくありません。だからつい、〈詳しく伝えて納得してもらわなきゃ〉との思いから、下のイラストのイヌのように、つい「あの人」(ネコ)に長々と説明してしまうことがあります。

ところが詳しく伝えるのは逆効果です。とりわけワーキングメモリ(記事前編参照)の弱い「あの人」は、こんなふうに混乱してしまいます。

こんなふうに混乱を招くので、「あの人」に込み入った問題を説明するときは注意が必要です。

実は私も、何度もやらかしています。

夫のアキラさんと話しているとき、彼が何も言わないと〈納得してくれてるんだ〉と誤解して一方的に話をしていたのです。それだけでなく途中で〈あれも話さなきゃ〉と脱線したりして、話が長くなることがよくありました。

ところが後日、アキラさんが何も言わなかったのは「話に納得していたから」ではなく、「筋が追えなくなったのでスルーしていた」のだと判明し、ガッカリしてしまったことがあります。

こんな失敗をしないためのコツはいろいろありますが、ひとつだけ最も大切なのは、

「まず本質だけを短く言う」

これに尽きます。

忘れっぽい傾向のある「あの人」と会話するときは、〈詳しく伝えたい!〉という欲求を少しだけ抑えるようにしてください。

そして必ず冒頭で、「尋ねたいこと」「最も重要な情報」「いちばん本質的な内容」など、これから話す内容を手短に伝えます。頼みごとがあれば、まず「〇〇してほしい」と第一声でいきなり頼んだほうが伝わります。詳細な説明はそのあとで問題ありません。

話が長くなりそうなら、言葉で伝えるだけでなく、後で見直せるようにしておきます。メール、SNS、メモなど、文章にして「あの人」に渡すのがおすすめです。文字にしておけば、本人のペースで何度も読み返せるからです。

また、会話をしていて自分で〈話が長くなりそう〉と感じた場合は、区切りのいいところで「あの人」に、

「ここまでの話、わかった?」

などと確認することも大事です。要するに「小分け」にして、立ち止まりながら伝えるのですが、そんなふうに一歩一歩話を進めていったほうが「あの人」も耳を傾けやすくなります。

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