扁桃腺がパンパンに詰まった小瓶を見せられて…徳永ゆうきさん扁桃炎での手術を振り返る

AI要約

徳永ゆうきさんは扁桃腺の切除手術を受け、手術前後の経験を語っている。

手術前は扁桃腺の腫れが頻発し、歌手活動に支障が出ていたが、手術をためらっていた。

手術後は順調に回復し、声に明るさが加わり、歌いやすくなったと感じている。

扁桃腺がパンパンに詰まった小瓶を見せられて…徳永ゆうきさん扁桃炎での手術を振り返る

【独白 愉快な“病人”たち】

 徳永ゆうきさん(演歌歌手/29歳)

  =扁桃炎

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 今年4月、扁桃腺の切除手術を受けました。“ビビリ”なので喉にメスを入れるなんて……とだいぶ悩みましたけど、今となってはもっと早くしておけばよかったと思うくらい良い変化がありました。

 扁桃腺は年に1~2回腫らしていました。でも痛みはなく熱が出た記憶もありません。その都度、病院に行って薬を飲めば治っていたので安心していたのです。

 ところが昨年の春は治りが悪く、いつもの薬を飲んでも治りませんでした。口の中を鏡でのぞくと、「うわっ! でかっ!」と思うほど、扁桃腺が右側も左側もパンパンに腫れていました。けれど、のみ込むときに圧迫感はあるものの痛みはないし、熱も頭痛も何もない。ただ扁桃腺が大きくなった感じだったので、もしこの仕事をしていなかったらそんなに気にしなかったと思います。

 昨年の6~7月に歌手仲間や周りの方々に教えてもらって、5~6カ所の病院を受診しました。言われたことはどこも一緒で、「薬で様子をみるか、手術するかの2択」でした。手術は怖かったので、歌うときに高音が出しづらい状態でも、ずっと「薬で様子をみます」と言い続けました。

 そのうち、腫れあがった扁桃腺で気道が狭くなってしまい、いびきがすごくなりました。一番ひどいときには、扁桃腺が喉ぼとけに当たり、番組の収録中にほかの出演者のお話を聞いている間、ずっと「おえっ」とえずいて涙目になっていたことも……。それで、手術を考えるようになったんです。最近はお芝居の仕事をさせていただくことがあり、もし長期の撮影中に声が出なくなったら、多くの方に迷惑をかけることになるとも思いました。

 そうしたことから昨年末には手術を決意し、スケジュールのタイミングをみて4月に1週間入院して手術を受けました。腫れている部分をごっそり切り取る手術でした。

 同じ手術をした経験者から、術後がすごく痛いと聞きました。「喉の中にガーゼを貼るわけにはいかないから、のみ込むときには傷口にダイレクトに当たる」って……。それを聞いただけで「最悪や」と思い、かなり痛いことを覚悟しました。

 手術は全身麻酔。麻酔が入ったら3秒ほどで記憶がなくなり、気づいたら病室でした。朦朧とするなかで、先生に「これが取れたやつです」と、2つの小瓶にパンパンに詰まった扁桃腺を見せられました。その先生の笑顔に「そんな笑顔で言わんでも……」と思いながら、やっぱり“記念”なので、小瓶の写真を撮りました。

■「声が明るくなった」と評判

 術後は順調に回復しました。すごいと言われていた痛みも、設定を高くし過ぎていたせいか、耐えられないほどではありませんでした。看護師さんたちは「痛み止めがありますから痛かったらすぐ言ってくださいね」と何度も心配してくれたんですが、「そこまでじゃないな」と思っているうちに、結局、痛み止めを使うことなく終わりました。

 先生からは「もし傷口のかさぶたが変な取れ方をして出血すると、止血手術でさらに入院が延びる」と聞かされていましたが、それもなく予定通り1週間で退院できました。

 水のような重湯から始まった病院食も、日に日にご飯に近くなっていきました。といっても、退院の日まではおかゆでしたけど……。退院後もしばらくは揚げ物禁止で、とにかく傷口にキズを与えないこと、出血しないよう血圧だけは注意していました。

 気になるのは声ですよね。術前の先生のお話では「歌へのデメリットはありません。逆に口の中の空間が広くなるので声が明るくなりますよ」とのことでした。実際、退院してすぐに父親に電話をしたら、「声、高くなったな」と言われました。久しぶりに会ったマネジャーからも「明るくなった」との評価。自分ではよくわからないのですが、ファンの方からも「明るくなった」「透き通ってる」という声が多くてホッとしています。

 じつは術前と術後に童話を朗読して声のデータを取ったんです。周波数に特に変化はありませんでした。だから、数値的には声は高くなっていないんです。ただ、ひと呼吸でどこまで延びるかというデータでみると、どの声も6~8秒延びました。あの小瓶2つ分の腫れがなくなっただけで8秒も息が延びるとはびっくりです。

 歌は毎日、先生に喉の状態を見てもらいながら、本域で歌っていいという許可が下りるまで、徐々に慣らしていきました。声の出しづらさなどは一切ありません。むしろ自分の感覚としては裏声が出しやすくなりました。演歌で裏声はあまり使わないのですが、オリジナル曲で裏声を使う曲がありまして、いつも苦戦していたんです。本当に苦手で……。それがスムーズに出るようになったことは明らかな変化です。手術は怖かったですが、決断も大事だなと気づかされました。

 退院後は少しお休みをいただいてから、復帰一発目の歌のお仕事はなんと、クリスタルキングさんの「大都会」を歌唱することでした。台本を見て「なんであんな高い曲!?」と驚きましたが、結果的に自分は下のパートでハモる役だったので助かりました(笑)。

(聞き手=松永詠美子)

▽徳永ゆうき(とくなが・ゆうき) 1995年、大阪府出身。「NHKのど自慢チャンピオン大会2012」でグランドチャンピオンになり、翌年に「さよならは涙に」で全国デビュー。2014年には日本レコード大賞の新人賞を受賞した。鉄道ファンとして知られ、バラエティー番組にも多数出演。役者としてドラマや映画でも活躍している。