マヒした手を動かすには? 入院中のリハビリテーション治療だけでは“手がよくならない”のはなぜ?

AI要約

脳卒中後遺症である運動マヒは、発症後6ヵ月を過ぎると改善が難しくなる。上肢のリハビリテーションにおいて正しい訓練法が重要である。

上肢のマヒは痙縮や廃用手などの問題を引き起こすが、早期から適切なリハビリテーションを受けることで改善の可能性がある。

近年の治療法の進歩により、マヒの改善が以前よりも可能性が高くなっている。

マヒした手を動かすには? 入院中のリハビリテーション治療だけでは“手がよくならない”のはなぜ?

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“正しい訓練”でおこなえば、手の機能はUPする! 

脳卒中後遺症である運動マヒは、発症から6ヵ月たつとマヒの改善がほとんど見込めなくなるといわれています。上肢のリハビリテーション治療で一番大切なことは、マヒのレベル(程度)にあった正しい訓練法です。マヒがよくなるには順番があります。『腕が上がる 指が動く 脳卒中によるマヒのためのリハビリテーション・ハンドブック』より、患者さんがより自主的に取り組みやすいようにマヒのレベルにあわせた段階ごとの訓練法を紹介します。

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 脳卒中後遺症である運動マヒは、実は発症から6ヵ月たつとマヒの改善がほとんど見込めなくなるといわれています。これは、教科書にも載っており世界の定説とまでいわれています。そのため脳卒中になった場合、できるだけ早く良質のリハビリテーション治療を始め、集中的に施行しなければなりません。

 発症から時期がたつと、ほとんどのマヒの場合、マヒ側に痙縮が出現してきます。いわゆるつっぱりというものです。

 下肢マヒの場合、その痙縮を利用して立ったり、マヒ側を支えることができる場合があります。ですからマヒがないほうの下肢の筋力が十分あれば、歩行可能となるケースが多く見られます。

 しかし上肢の場合、痙縮が強くなるとほとんどの場合、肩・肘ひじ・手首・手指すべてが屈曲方向(関節を曲げる方向)に引っ張られ、意図するように伸ばせなくなります。伸ばすことができない場合の上肢は廃用手という言い方をされます。

 急性期や回復期に対応するリハビリテーション専門病院などでは、手足の機能をできるだけ回復させ、退院後にはもとの生活能力に近いところまで回復することをめざして、訓練します。

 しかし、入院期間が限られているという背景もあり、積極的に上肢の機能訓練をおこなうというよりは、日常生活訓練を中心にせざるをえない状況にあります。

 こうして、積極的な上肢機能訓練を受ける機会があまりなかったために、マヒ側の手を使う機会を失ってしまう人が多いのです。

 脳卒中後遺症になり手がとても不自由になって1年以上たってしまった患者さんを診察する機会が多くあります。残念ながら、もう少し早い時期に助言を与えることができればよかったと思うこともしばしばあります。

 それは、マヒがよくなるには順番があり、それに対する訓練方法など対応の仕方があるからです。だから、「けっしてあきらめないでください」と言いたくなるのです。

 前述のように、たとえ訓練に励んだとしてもマヒ手はよくならず、多くの人があきらめてしまっています。しかし、2008年以降の磁気刺激療法やボツリヌス療法などの目覚ましい普及で、これ以上よくならないとされてきたマヒでも改善する可能性が出てきました。

 次回は、マヒのレベル(程度)をチェック! どの段階の訓練法が自分に必要なのか簡単にわかる方法を紹介します。

続きは<マヒの段階をセルフでチェック!  あなたに最適な訓練方法をご紹介! >で公開中です。