「ニンニクマシマシは正しい」スタミナ疲労回復効果プラス脳機能・抗がん・動脈硬化・高血圧に役立つ研究報告

AI要約

ニンニクは古くから薬として使われてきた食材であり、その健康効果は多岐にわたる。

ニンニクに含まれるアリインという成分が、動脈硬化などの疾患予防や改善に効果があることが研究で示されている。

また、ニンニクはエネルギー代謝を高め、ダイエット効果も期待できるが、タンパク質と一緒に摂取することが重要である。

■代謝を高めるダイエット効果も

 今、旬の時期を迎えているニンニクは、料理のスパイスとして親しまれているが、古くは貴重な薬として用いられてきた。エジプトでは紀元前からピラミッド建設に従事した労働者のスタミナ源として配られ、怪我をしたときにはそのしぼり汁を消毒にも使っていたといわれる。日本でも抗菌作用、抗感染症などの働きが注目され、かつては赤痢の特効薬としてもニンニクが利用されていたようだ。古来、強壮剤としても使われている。

 そして今も、日本医師会らが監修する『健康食品・サプリ「成分」のすべて ナチュラルメディシン・データベース』(同文書院)では、「広範囲な病気および疾患の予防や治療のための『くすり』として用いられている」とある。膨大にある研究報告の中で、有効性レベルが最も高いものは「動脈硬化」に対するものだ。「特定のニンニク粉末サプリメントを一日2回、24カ月にわたり摂取すると、動脈硬化の進行が抑制される」などと報告され、実際にヨーロッパの医療現場では動脈硬化薬として使用されている。そのほか高脂血症や高血圧症の改善、抗がん作用、脳機能維持など数多くの研究が発表されている。

 「ドイツではメディカルハーブとして登録されており、健康維持増進や疾病予防、また治療において機能性があると認められています」

 と、健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が説明する。

 「がんのリスク低下については諸説ありますが、『結腸がん、直腸がんの発がんリスク低下にほぼ確実』と、WCRF(世界がん研究基金)とAICR(米国がん研究財団)が発表しています。ただ、その効果が得られる摂取量、摂取頻度を明らかにしにくいところが、ニンニク研究の難点ですね。品種ごとに栄養価が異なることもあります」

 ニンニクを生のまま、あるいは加熱して食品として取る場合と、ガーリックオイルやガーリックパウダーとして料理に取り入れる、抽出液を含むサプリメントとして取る場合などでも違いがあるが、いずれも古くから知られる機能成分は、臭い成分のもとになる「アリイン」だ。切ったりすりつぶしたりすると、アリインが酵素の作用によってアリシンという強力な臭い物質に変化する。アリシンは不安定な物質であるため、いろいろな物質に変化し、さまざまな働きをする。

 「例えばアリシンがビタミンB1と結合するとアリチアミンという物質になって、ビタミンB1の吸収を促進し、その働きを持続させます。本来ビタミンB1は水溶性なので体内に長く蓄えられませんが、アリシンと結合することで吸収が良くなり、体内に蓄えられやすくなって、疲労回復効果が長続きします。ニンニクにスタミナ効果があるといわれる所以ですね」(望月氏)

 加えてニンニクはエネルギー代謝を高め、ダイエット効果もある。ただし、エネルギーの源自体ではないため、タンパク質とセットで取ったほうがいい。車にたとえると、エネルギーのもととなるガソリンは、糖質や脂質、タンパク質で、ニンニクはあくまでエンジンの回転を良くするエンジンオイルなのだ。マウスの研究では高タンパク質の食事とセットにすることで、男性ホルモンのテストステロンや筋肉形成が促される結果も出ている。次項(画像)で包丁を使わずにニンニクとタンパク質をセットで取れるレシピを紹介するので参照してほしい。このレシピでは、鶏肉に含まれるビタミンB1とニンニクのアリシンが結合し、望月氏が解説するアリチアミンを生み出せる(しかも鶏肉にも抗疲労成分が含まれるので効果倍増だ)。