20万部超えの人気シリーズ著者がこっそり教えます! 専門家に教わった「発達障害・グレーゾーンの人」の行動がサクッと変わる「言い方」のコツ
発達障害の人の特性について、野波ツナさんが語る。
発達障害の人に対する効果的なアプローチ方法を解説。
リーダーとしての課題に直面する友人のエピソード。
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空気が読めない、協力が苦手、忘れっぽい……発達障害の人、診断はないけどその特性がある「グレーゾーン」と呼ばれる人は、個性的な行動で周囲と衝突してしまうことがあります。そんな個性的すぎる「あの人」に伝えたいことを確実に伝えるには、ちょっとした技術が必要です。15年にわたり発達障害がある夫と暮らした漫画家・野波ツナさんが、専門家に教えられたその技術の一端を紹介してくれました。
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漫画家の野波ツナです。私は以前、発達障害がある夫との生活もとに、コミックエッセイ、「旦那(アキラ)さんはアスペルガー」シリーズ(コスミック出版、全8冊)を出版しました。
シリーズを制作するなかで、私にはいろいろな「収穫」がありました。
まず、発達障害の専門家である宮尾益知先生、滝口のぞみ先生と出会い、くり返し取材させていただき、実生活に役立つさまざまな知恵を教えてもらうことができました。
出版後は講師として講演に招かれることが増え、多くの「仲間」と接する機会に恵まれました。メールやブログのメッセージ機能を通じて見知らぬ人から、
「こんな人がいるけど、どうすればいいでしょうか?」
という相談を受けたこともあります。
専門家ではない私にできるアドバイスは限られたものでしたが、それでも「効き目がありました!」と喜びの声をもらうこともありました。
そうやって収穫した知恵を今回、新刊『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』にギュッとまとめましたが、たとえば実際にあった相談というのは、次のようなものでした。
ある会社でリーダーを務めている友人の話です。友人の職場に、新人のA君が配属されてきました。そのA君について困ったことがあると言います。
友人の職場では、勤務時間中に30分休憩をとる決まりになっていました。その時間帯には仮眠をとる人が多かったのですが、なぜだかA君は休憩室の掃除を始めてしまうのです。掃除自体は悪いことではありませんが、当然音がしますから、仮眠しようとしている人は眠れません。
リーダーのもとに「困ってます」「何とかしてください」という苦情が寄せられたので、友人はA君を呼んで、
「休憩中は仮眠する人もいるし、A君もゆっくりしてて」
と注意をしました。するとA君は、なんとその後は以前より「ゆっくり」掃除をするようになったそうです。
まるで笑い話ですが、それでも物音がうるさくて相変わらず苦情が寄せられます。そのようなわけで、リーダーとしてどうすればいいか困っている……とため息交じりに話してくれました。