抜け穴だらけの“ザル法” 批判の声も…裏金問題を受け「改正政治資金規正法」成立 いまだ残る問題点を専門家が解説

AI要約

政治資金規正法の改正が可決・成立しましたが、抜け穴が多く批判されています。

議員の罰則強化やパーティー券の問題などが話題になっています。

透明性を確保するための取り組みや課題についての議論が続いています。

抜け穴だらけの“ザル法” 批判の声も…裏金問題を受け「改正政治資金規正法」成立 いまだ残る問題点を専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月20日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「改正 政治資金規正法、成立」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「改正政治資金規正法」が6月19日(水)に参院本会議で可決・成立しました。議員の罰則強化や政治資金の透明性の確保などが明記され、多くの項目が2026年1月1日に施行されます。

ユージ:塚越さん、改正政治資金規正法が成立しました。改めて内容を教えてください。

塚越:裏金問題の再発防止策としてできたのですが、やはり抜け穴が多く、生煮えのまま通ってしまった感じです。改正案ではなく「改定案」と捉える人もいますし、私もそう思います。

まず、議員本人の罰則を強化する、いわゆる「連座制」の導入のため、収支報告書の「確認書」の作成を議員に義務付け、議員が確認を怠って会計責任者が不記載などで処罰されると、議員も公民権停止になる可能性があるとしました。

あくまで「可能性」という話ですが、これを自民党は「連座制」としました。例えば会計責任者が嘘をついた場合、議員を処罰しない例外規定をつくっています。つまり、会計責任者が嘘をついたことにすれば、議員は罰せられないことになります。裏金で国民が怒っているのに、この程度の改正ではどうなのだろうと思います。

ユージ:それは連帯責任であるべきですけどね。

ユージ:国民が納得できないといえば、パーティー券の問題もありますよね。

塚越:問題となったパーティー券ですが、購入者の公開基準額を今の「20万円を超える」から「5万円を超える」に引き下げました。もともと自民党は10万円としていたのですが、公明党の批判もあって5万円になりました。

ただし、5万円はパーティー1回あたりの金額であり、例えば4回開いて同じ人や団体が買えば、今と同じです。これは、やはり抜け穴じゃないかということですね。

ユージ:パーティーの回数が変わってくるかもしれませんね。あとは、政策活動費ですね。

塚越:政策活動費ですが、こちらは項目ごとの使い道や支出した年月を開示して、10年後に領収書などを公開するとしています。公開方法や上限額などの詳細は決まっていません。

岸田文雄首相は「施行日の2026年1月1日に間に合うよう検討する」と言っているのですが、始まるのが遅いですし、これだけ重要な法なのに、まだ詰めきれないで成立させています。

透明性を確保するための第三者機関を設置することなどが義務付けられていますが、結局「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、世間の関心がなくなったらどうなるか分かりませんよね。

さらに政治資金規正法と所得税法の時効は5年なので、10年後に不正が分かったとしても時効になっているので、誰も罰せられないことが考えられます。なぜ10年という縛りにしたのか、明確な答えは見えてきません。どうみても、逃げ切りたいという気持ちが見えてきます。

ユージ:聞けば聞くほど抜け穴が多いなという気がしてきます。