「モンスター住民」の暴走を放置して大後悔…「マンションの管理費」がなぜか高くなってしまう「意外なワケ」

AI要約

マンションの管理組合は重要な決定を行う場であり、総会に参加することが必要

サイレントマジョリティやモンスター住民がマンション管理を脅かす可能性がある

モンスター役員の暴走を防ぐためには、住民一人ひとりが積極的に関与する必要がある

「モンスター住民」の暴走を放置して大後悔…「マンションの管理費」がなぜか高くなってしまう「意外なワケ」

 マンションを生かすも殺すも管理次第であり、そのカギを握るのは管理組合です。管理は管理会社がやるものだと思っている人がよくいますが、すべての決定権を持つのは管理組合です。マンションは、直接民主主義にして合議制の一つの国のようなもの。同じマンションに住む人は共通の資産を守る仲間であり、意見交換しながら協力し合う必要がありますが「モンスター住民」やヒューマンエラーによって、健全な管理が脅かされてしまうおそれがあります。

 マンションの総会は管理組合における最高意思決定の場であり、次のようにさまざまな重要事項の決議が行われます。

 ・ 管理費や修繕積立金の値上げに関する決議

 ・ これまで組合員全員が積み立ててきた多額のお金で大規模修繕工事を行うことへの決議

 ・ 使われていない共用施設を見直すことへの決議(機械式駐車場を取り壊す、キッズルームをスタディルームに変える、など)

 ・ 管理会社を変更することに関する決議

 マンションの区分所有者にとっては非常に大きな決定がなされることも多く、参加せずに後で文句を言ってもどうにもなりません。ところが、実際には総会に参加する住民が少なく、委任状を出してそれで終わりにしている人が大半を占めるマンションは非常に多くなっています。

 国土交通省が5年に1回行っている「マンション総合調査(平成30年度)」によると、委任状及び議決権行使書の提出者を除く出席者の平均は、わずか32.9%。特に大規模マンションほど出席率が低くなると言われており、マンション管理に対する意識の低さが表れています。

 住民の多くが「物言わぬ多数派(サイレントマジョリティ)」だと、管理組合の理事会にモンスターが紛れ込んでも、対応は後手に回ります。大規模マンションになるほど過剰なクレーマーなどのモンスター住民が高確率で潜んでいます。

 総会は主要な議案を決議する場であり、その内容をあらかじめ話し合って決めておくのは理事会です。理事会は管理組合の執行機関で、その役員は住民が輪番制で担当するマンションが多く、任期は通常1~2年ほどです。理事会の役員は定期的に会合を開き、マンションを適切に維持・管理するための話し合いを行います。しかし、サイレントマジョリティは管理に無関心なので、役員になっても積極的に発言しないケースが多いもの。モンスター役員の意見を結果として受け入れ、暴走を加速させてしまう傾向があります。

 モンスターにもさまざまなパターンがありますが、非常によく見られるのは、管理会社をまるで“しもべ”のように見なし、必要以上に高圧的な態度をとるタイプです。本来、管理組合にとって管理会社は対等な立場のパートナーですが、モンスターが見下した態度をとって過剰なクレームを入れたり、管理人を怒鳴りつけたりして管理会社と対立し、最終的には管理会社のほうから三行半(みくだりはん)を突き付けられてしまうマンションもあります。

 それで慌てて次を探しても、解約の経緯から他の管理会社に警戒されることも多く、結果として住民の負担する管理費は値上げに。モンスター役員の横暴が、すべての住民に不利益をもたらすことになるのです。

 また、管理会社からの修繕積立金の値上げ提案を独断で断固拒否し、不用意に管理会社と対立するモンスターもいます。モンスター役員が理事会で提案を退けてしまうと、総会の議題に上ることはなくなるので、ほかの組合員は将来的に修繕積立金が不足する可能性があることや、値上げの提案があったことすら知る機会を失います。その結果、後で修繕積立金の大幅な不足が露見し、後悔する羽目になる事例も見られるのです。

 モンスターの暴走を未然に防ぐには、マンションの住民一人ひとりがマンション管理に興味を持ち、無関心でも許されている空気を払拭する必要があるでしょう。そのためには、最低限総会には参加する。どうしても参加できない場合は、委任状ではなく議決権行使書を提出し、自分の意思を表明することが大切です。

 理事会の役員が回ってきたら、マンションについてよく知る機会だと捉えて、前向きに活動しましょう。総会の出席率を上げるための取り組み(多くの人が参加できそうな日時に設定する、何かのイベントと同日に開催する、など)も、積極的に行いたいところ。

 理事会や総会に専門家を招聘(しょうへい)するマンションも増えていますが、モンスター対策に有効ですし、目下の問題を整理して考えられるので検討する価値があります。