ぬいぐるみの「旅行」ツアー、カフェや神社で広がる笑顔…周囲の無理解に「受け入れる優しい社会になって」

AI要約

東京都足立区の鈴木公子さんが愛用品のぬいぐるみと一緒に旅するサービスを提供しており、妊婦や病人からの依頼を受けている。

鈴木さんはぬいぐるみ好きの集まりを作るために始めた活動が広まり、お店や図書館などを巡りながら街の人々とぬいぐるみとのふれあいを撮影してSNSに投稿している。

ぬいぐるみを大切にすることに対する偏見に反対し、ぬいぐるみ愛好者のコミュニティを作るために活動している鈴木さんの取り組みが紹介されている。

 旅行ができない人などの代わりに、愛用品のぬいぐるみと旅する様子を撮影するサービスを東京都足立区の鈴木公子さん(47)が実施している。妊婦や病人らからの依頼を受け、ぬいぐるみが街を巡る場面などを撮影、SNSにアップして依頼者が見られるようにする取り組みだ。大好きなぬいぐるみの「旅行」を通じて、癒やしを届け続けている。(神園真由美)

 「いらっしゃいませ。かわいいねえ」

 車輪付きのおもちゃ箱に乗せられたクマ、ウサギなど七つのぬいぐるみの一行が5月末、足立区のカフェに着くと、店頭にいた女性が笑顔で声をかけた。

 鈴木さんがカフェに連れてきたぬいぐるみは、大阪府や福岡県などから送られてきたものだった。

 この日、ほかに巡ったのは、おむすび店や図書館など。おむすび店では、「おいしかった? 天気が良くてよかったね」と店員と話が弾み、別の店舗にあったぬいぐるみ用の小さな神社にお参りすると、ご朱印をもらった。鈴木さんは、街の人の笑顔とぬいぐるみの様子を撮影し、インスタグラムにアップした。

 鈴木さんは、もともとぬいぐるみが好きで、大人になってもぬいぐるみをそばに置いて大切にしていた。すると、同じぬいぐるみ愛好者が、周囲から「大人げない」などと言われ、ショックを受けていたことを知った。

 「物を大切に扱うのは良いことなのに、なぜぬいぐるみではいけないのか。周りに理解されず悩む人のために、ぬいぐるみ好きの人がつながる場を作りたい」

 そう考えた鈴木さんは9年前、自宅にぬいぐるみ用のミニチュアカフェを設置。全国から送られて来るぬいぐるみをお客様として扱い、本物のパンケーキやピザを出すなどして本格的にもてなし、その様子を撮影してSNSにアップするようになった。

 その後、月1回のペースで外へ出て街を巡るツアーも実施するようになり、これまでに500体以上が参加した。巡る先は、鈴木さんの活動に理解を示している店舗ばかりだという。