加齢とともに男性は低下、女性は上昇。「悪玉コレステロール」は気にする必要なし?

AI要約

コレステロールの働きや動脈硬化について詳しく解説。

コレステロールの供給過多が起こると、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる。

HDL粒子が余ったコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を果たす。

加齢とともに男性は低下、女性は上昇。「悪玉コレステロール」は気にする必要なし?

 毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

 BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。

 『健診結果の読み方』連載第21回

 『「脳梗塞」と「心筋梗塞」のリスクが急上昇…健康に気を付けるなら絶対知っておくべき「コレステロールの真実」』より続く

 コレステロールの大半は肝臓で作られます。できたコレステロールは、LDL(低比重リポタンパク質)粒子に詰め込まれて、血液中に放出されます。そして全身の細胞にコレステロールを供給するのです。つまりLDL粒子は、コレステロールの運び屋ということです。

 コレステロールの供給が過多になると、使いきれなくなって余りが生じます。余分なコレステロールは、LDL粒子から血液中に放出されて、遊離コレステロール、つまり裸のコレステロール分子となって、血液中を漂い始めます。

 ところがコレステロール分子は水に溶けにくいため、すぐに動脈の内壁にもぐり込もうとします。それが動脈硬化を引き起こすのです。

 なかでも粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)と呼ばれるものが問題です。コレステロールを多く含んでドロドロ(粥状)になったカサブタ(プラークと呼びます)が生じて、血管を内側から狭くするからです。それが心臓の血管(冠動脈)に生じると、狭心症と呼ばれる病気を引き起こします。

 またプラークはちょっとしたことで剥がれて、血流にのって遠くまで移動していきます。脳のほうに流れていくと、途中で血管を塞いで詰まらせてしまうことがあります。

 それが(アテローム性の)脳梗塞です。血管が詰まった先は、脳細胞が酸素不足で死んでしまうため、マヒや言語障害など、さまざまな症状が出てきます。また心臓の冠動脈が詰まれば、急性心筋梗塞となって、命の危険にさらされます。

 そこで登場するのがHDL(高比重リポタンパク質)粒子です。HDL粒子は、血液中に出てきた遊離コレステロールを内部に取り込み、コレステロールエステルという物質に変えて、肝臓に戻します。つまりHDL粒子は、余ったコレステロールを回収する役割を担っているのです。

 こうして回収されたコレステロールの一部は、肝臓で再びLDL粒子に組み込まれて再利用され、残りは胆汁などと一緒に体外に廃棄されます。