成年後見の無料相談先はどこがお勧め? 相談窓口や利用する際の注意点を解説

AI要約

成年後見制度とは、認知症などで精神的障害がある人の権利を保護する制度であり、専門家の相談が重要である。

成年後見制度を利用する際には、弁護士や司法書士が適切な相談先となる。家庭裁判所で選任される成年後見人との関係も理解しておく必要がある。

相談窓口や専門家の選定に困った際には、弁護士会や司法書士会などの成年後見専門の相談窓口を利用する方法もある。

成年後見の無料相談先はどこがお勧め? 相談窓口や利用する際の注意点を解説

超高齢社会を迎え、親や自身の認知症への備えとして、財産管理や身上監護の事務などを行ってもらえる「成年後見制度」を検討する人が増えています。「成年後見制度について、どこに相談すればいいかわからない」という人に向けて、司法書士が無料相談のできる相談窓口や利用する際の注意点などをわかりやすく解説します。

「成年後見制度」は、認知症などで精神的障害がある人(以下、本人)の権利を保護するための制度です。

家庭裁判所から選任された成年後見人は、本人の権利が守られるように財産管理や身上監護の事務などを行います。成年後見人には身近な家族や親族もなることができますが、実際の法定後見では家族や親族以外の第三者が成年後見人に選ばれるケースもあります。

成年後見制度を簡単に説明するとこのようになりますが、法律の専門職ではない場合、成年後見制度をしっかりと理解するのはなかなか難しいと言えるでしょう。

ただし、超高齢社会において、特に認知症の事例は増える傾向にあります。認知症は成年後見等の開始原因の約6割を超えており、高齢化のさらに進む社会においては成年後見制度の利用を検討しなければならない状況が増加していくと想定されます。

成年後見について相談できる専門職としては、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士が挙げられます。

ただし、上記に挙げた専門職であっても、それぞれ法律上の制限で各専門職のできること、またはできないことがあります。さらには、成年後見業務を取り扱ったことがあるかどうか、あるいは成年後見の何について相談するかなどにより、相談先として適しているかどうかも変わってくるはずです。

まず、どのような相談内容であったとしても、実際に成年後見の業務を行った経験のある専門家であれば、ひと通り成年後見について知っていると思われるので相談先の候補とするとよいでしょう。

参考までに、最高裁判所事務総局家庭局が公表している「成年後見関係事件の概況(令和5年1月~12月)」によると、成年後見人等に選任されている専門職の割合として割合の高い順は以下のとおりです。

成年後見人等に選任されている専門職の割合

・司法書士:35.9%

・弁護士:26.8%

・社会福祉士:18.4%

・行政書士:4.6%

成年後見制度の利用の検討段階においては、どの専門職でも相談は可能ですが、実際に成年後見開始などの申立てをしたい際の相談や実際に依頼をしたい場合には、弁護士か司法書士の選択肢となります。というのも、社会福祉士と行政書士は、成年後見開始等の申立ての代理、または申立書の作成のいずれもできないためです。

成年後見人等への就任を依頼したい際の相談先はどの専門職でもよい一方、本人が何らかの法的トラブルを抱えている場合は、法的手続きをとることができる弁護士が適しています。ただし、実際に成年後見人等を選任するのは家庭裁判所であるため、あくまで候補者になってもらえるかどうかの相談になる点は認識しておきましょう。

詳しくは後述しますが、近くに相談内容に適した専門職がいない場合またはどこに相談したらよいかわからない場合には、事前に弁護士会、司法書士会、社会福祉協議会、行政書士会、または各々の団体が設立している成年後見専門の相談窓口に相談先を教えてもらう方法もあります。