香港規制当局、ワールドコイン(WLD)に業務停止を指示 プライバシー保護を理由に

AI要約

香港の規制当局が、データ収集プロジェクトを中止するよう指示

ワールドコインは虹彩スキャンによる個人識別を提供するプロジェクト

世界的IDシステム構築を目指すワールドコイン、規制当局の懸念受ける

香港規制当局、ワールドコイン(WLD)に業務停止を指示 プライバシー保護を理由に

香港の規制当局が、ワールドコイン財団(Worldcoin Foundation)に対し、プライバシーと個人データへのリスクを理由に、同地区でのプロジェクト全ての運営停止を指示する執行通知を5月22日に送付した。

香港の個人情報プライバシー委員会事務局(The Office of the Privacy Commissioner for Personal Data:PCPD)は、ワールドコインは自社のデバイスを使用した公衆での虹彩と顔画像のスキャンと収集を中止すべきであると付け加えた。 また、データ収集は「不必要かつ過剰」だとも批判した。

ワールドコインは、デジタルIDと無料の暗号資産を引き換えに、同社の「オーブ」デバイスで虹彩をスキャンすることを人々に奨励している。 ワールドコインのウェブサイトによると、160カ国以上の500万人以上が虹彩のスキャンに登録しているという。しかし、このプロジェクトは個人データの収集、保管、使用に関して批判を浴びている。

ワールドコイン財団は「香港の規制当局が発表した見解には失望した」と述べた。

「ワールドコインは合法的に運営されており、香港の個人データ(プライバシー)条例や他の市場における同様の法令を含む、データの収集と使用を管理するすべての法律や規制に完全に準拠するように設計されている」と電子メールで送付された声明で同財団は述べた。

世界中、特に欧州諸国の規制当局は、データベースが悪用される可能性があると懸念を表明している。

●ワールドコインとは

ワールドコインは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOサム・アルトマン(Sam Altman)氏が立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクトだ。

ワールドコインは「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで虹彩をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコード「虹彩コード(Iris Code)」に変換することで個人を識別する「World ID」を発行する。これによりワールドコインは世界的なIDシステムの構築を目指している。

なお最新のアップデートによりワールドコインでは、眼球スキャンから作成された識別番号「虹彩コード」を永久に削除できるオプションが追加された。

また18歳以上の個人のみがワールドコインを利用できるよう、虹彩スキャン時に対面での年齢確認が導入されている。

その他にもワールドコインでは、独自の専用ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」を今夏にリリースする予定だ。

TFHによると「ワールドチェーン」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ブロックチェーンとのこと。

ワールドコインは現在イーサリアムL2の「OPメインネット(OP Mainnet)」上で稼働しているが、同ネットワークのトランザクションが「OPメインネット」のアクティビティの約44%を占めていることなどの要因からネットワーク移行を進めるとのことだ。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。

Hong Kong regulator directs Worldcoin to cease operations citing privacy concerns

(Reporting by Manya Saini and Jaiveer Singh Shekhawat in Bengaluru; Editing by Shailesh Kuber and Mrigank Dhaniwala)