アストロスケール英子会社、デブリ除去で英宇宙庁と契約

AI要約

アストロスケールホールディングスの子会社が宇宙ゴミ除去ミッションを続ける契約を英宇宙庁と締結

英国製の衛星2機を除去するプロジェクトCOSMICの開発がフェーズ2に入る

日本法人も大型デブリ除去プロジェクトに参加し、活動を進めている

アストロスケール英子会社、デブリ除去で英宇宙庁と契約

アストロスケールホールディングス(東京都墨田区)の100%英国子会社であるAstroscale UKが、宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去ミッション「COSMIC」の開発を継続する契約を英宇宙庁(UKSA)と締結した。税別契約額は195万ポンド(約3億7400万円)。9月11日にアストロスケールホールディングスが発表した。

 COSMIC(Cleaning Outer Space Mission through Innovative Capture)は、地球低軌道(LEO)で役目を終えた英に由来する衛星2機を除去する。今回のフェーズ2では、フェーズ1で特定された、ロボットアームでの捕獲システムやデブリの姿勢安定化の技術などを含めた主要技術の成熟とリスク軽減に重点が置かれているという。日本法人が運用する「ランデブー・近接運用(Rendezvous and Proximity Operations:RPO)」技術の実績を活用する。

 Astroscale UKの施設でCOSMICを開発、組み立て、運用する予定。Airbus Defence and SpaceやMDA、Nammo、Thales Alenia Space、GMV、AVS、D-Orbitの英法人、RedwireやDLRといった欧州企業と引き続き連携、英全土の約100社のサプライチェーンとも連携する。

 COSMICでの捕獲機(サービサー)は、Astroscale UKが開発、組み立てている「ELSA-M」の技術的進化版と説明。Astroscale UKは、UKSAが協力する欧州宇宙機関(ESA)とEutelsatグループが共同で進める「Sunrise」プロジェクトの一環として、ELSA-Mを軌道上で実証する最終フェーズの契約をEutelsat OneWebと締結している。

 2026年4月までに打ち上げる予定のELSA-M(End-of-Life Services by Astroscale-Multi client)は、捕獲や除去の準備がされている衛星を対象に、運用終了時に除去するEOL(End-of-Life)サービスとして世界初になるミッション。

 日本法人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める、大型のデブリ除去などの技術実証を目指しているプロジェクト「商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)」のフェーズ2に選ばれている。フェーズ1では、デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」(Active Debris Removal by Astroscale-Japan)を開発。2024年2月に打ち上げ、現在ADRAS-Jを運用している。ADRAS-Jは、デブリの周回観測に世界で初めて成功している。