意外? 人口10万人あたりの家電量販店は47都道府県中ワースト1位は東京都

AI要約

東京都における家電量販店の出店状況について。都内の人口10万人あたりの店舗数が少ないため、新規出店が続いている。

ノジマやヤマダデンキなど、都内で多くの店舗を展開している家電量販店のランキングや展開状況。

東京都内の地域別に家電量販店の出店状況を紹介。多摩地区や23区内の人気街に重点を置いた出店傾向が見られる。

意外? 人口10万人あたりの家電量販店は47都道府県中ワースト1位は東京都

 【家電量販店とまちデータ・3】「住みたい街ランキング」の上位に入る街(駅)・自治体には、多くの場合、駅前の繁華街や市内のロードサイドなどに家電量販店がある。近年、リニューアルしたGMS(総合スーパー)や駅ビルの一角に家電量販店が出店するケースが増えており、一見、出店過剰に見えるが、実は東京都は人口10万人あたりの店舗数が少なく(1.55)、47都道府県中ワースト1位なので、今後も新規出店が続くだろう。連載第3回となる今回は、その東京都に絞って見ていこう。

■前回(第2回)から読む

https://www.bcnretail.com/market/detail/20240810_445686.html

■第1回を読む

https://www.bcnretail.com/market/detail/20240629_435332.html

●東京は23区だけじゃない! 26市3町1村の「多摩」に注目!

 連載第1回と同じ集計データによると、東京都内にある主要家電量販店(オンラインショップは含まない)の店舗数は209で全国3位の多さだ。ただし、人口10万人あたりの店舗数は全国平均の2.94を下回り、店舗数の少なさを、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、LABI(ヤマダデンキ)といった都市型家電量販店がカバーしている状況だ。

 チェーン店舗別でみると、1位ノジマ、2位ヤマダデンキ、3位コジマ(コジマ×ビックカメラ)、4位ビックカメラ、5位ケーズデンキ、6位ヨドバシカメラの順だった。コジマとビックカメラをあわせて「ビックカメラグループ」として集計すると、4位以降、順位は一つずつ繰り上がっていく。

 

 ノジマのウェブサイトの「新店舗案内」によると、2023年6月から24年6月までの1年間にノジマは計15店舗が新規にオープンした。そのうちの3店舗(イトーヨーカドー四つ木店・グランディオ立川店・イトーヨーカドー小岩店)は東京都内の新店舗で、他県も含め、イトーヨーカドーへの出店が目立つ。

 

 ところで、東京都は「市」がかなり多い。全て挙げると、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市となり、まとめて「多摩」や「東京市部」などと呼ばれる。

 東京都内店舗数3位のコジマ(コジマ×ビックカメラ)は、郊外型のイメージが強いが、多摩(東京市部)に加え、23区内にも数多く出店している。23年7月には、東京臨海副都心エリア最大級の売り場面積となる大型店「コジマ×ビックカメラ 有明ガーデン店」(江東区)をオープン。また、22年4月にオープンした「コジマ×ビックカメラ KAMEIDO CLOCK店」(江東区)は、駅前再開発で誕生した住商一体の複合商業施設「KAMEIDO CLOCK」のキーテナントの一つとなっている。

 

 一方、東京都内店舗数5位のケーズデンキは、都内14店舗のうち、23区内はわずか4店舗(足立一ツ家店・足立竹の塚店・足立店・西葛西店)にとどまり、残り10店舗(昭島店・イオンタウン稲城長沼店・稲城若葉台店・青梅店・立川店・多摩ニュータウン店・八王子店・東久留米店・府中本店・多摩東寺方店※2024年9月1日閉店済み)は多摩地区にある。

 東京都内店舗数2位のヤマダデンキは店舗数が多いので、都市型店舗・次世代型店舗の「LABI/Tecc LIFE SELECT」のみピックアップすると、池袋・東京八重洲・新宿西口・品川大井町・自由が丘・渋谷・立川・吉祥寺の8店舗のうち、多摩地区2店舗、23区内8店舗と、23区内のほうが多い。多摩地区の立川・吉祥寺も「住みたい街ランキング」上位の常連であり、ヤマダデンキ「LABI/Tecc LIFE SELECT」は、人気の街に絞って出店しているようだ。

●「018サポート」効果で子育て世代の都内移住が進む?

 SNS上では、0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで、都内在住の子どもに月額5000円を支給する東京都独自の子育て支援策「018サポート」が注目を集めている。23年度にスタートし、今年で2年目。この支援金は居住地を問わず一定額を支給するので、「018サポート」をきっかけに東京都内に移り住むなら、より家賃水準の安いエリアを選んだほうがお得だ。そうしたエリア選びの目安として、ケーズデンキとヤマダデンキ(ブランド問わず)の両方が出店しているエリアをおすすめしたい。要するに多摩エリアや足立区周辺である。

 次回は、自虐的な内容で第1弾・第2弾ともヒットした映画「翔んで埼玉」で全国的な知名度を上げ、「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」では、過去最高となる2位に「大宮」が入った埼玉県を取り上げる。(BCN・嵯峨野 芙美)

※本記事の「家電量販店」の総数は、家電量販店各社のウェブサイトに2024年6月末時点で記載されていたデータをもとに独自に集計したものです。7月以降の新規開店・閉店は反映しておりません。