羊を飼って電力を生み出す合わせ技。環境にもいいことづくめ

AI要約

クリーンエネルギー大手と太陽光発電所運営会社が提携し、テキサス州で営農放牧型太陽光発電を拡大することが発表された。

営農放牧型太陽光発電による羊の植生管理は環境に良い影響を及ぼし、斬新な取り組みとして注目を集めている。

植物の肥料や植物の移動、羊の健康状態など、営農放牧型太陽光発電の多面的な利点が紹介された。

羊を飼って電力を生み出す合わせ技。環境にもいいことづくめ

農業と太陽光発電が、石油王国のテキサスで融合する日が来るとは…。

マサチューセッツ州に本拠を置くクリーンエネルギー大手のエネル・ノースアメリカと、テキサス州で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の植生管理を行なう家族経営のテキサス・ソーラー・シープは、持続可能な電力と農業の発展のために営農放牧型太陽光発電を拡大させると発表しました。

エネル・ノースアメリカは、同社がテキサス州に所有する8カ所、マンハッタンの3/4に相当する41平方キロの大規模太陽光発電所に、テキサス・ソーラー・シープから貸し出された6,000頭の食肉用の羊を放牧します。8カ所の発電所では、現在2.6ギガワットの電力を供給しています。

American Solar Grazing Association(アメリカソーラー放牧協会)は、今回の提携による事業はアメリカで最大規模の営農放牧型太陽光発電になるといいます。同協会は現在、全米で約400平方キロの大規模太陽光発電所で放牧が行なわれていると推定しています。今回の事業は、その10%に相当する計算になりますね。

羊による植生管理には利点が多いといいます。まず、立ち並ぶ太陽光パネルの下で、草刈り機では手間がかかる隅々の植物まで食べてくれます。草刈り機は石やごみなどをはじき飛ばして、パネルを破損させる可能性が高くなり、そうなるとコストも高くなってしまいます。

また、羊は草刈り機のように化石燃料で動かさなくても草を食べてくれるので、微量とはいえ二酸化炭素と汚染物質の排出を抑えられます。おまけに在来植物を自生させることで、花粉を媒介するミツバチや昆虫などの多様性が豊かになり、土壌の浸食も抑えられるとのこと。

さらに羊の排せつ物は天然の肥料になるため、土壌質の改善につながります。移動しながら植物を食べるので、排せつ物と一緒に植物の種も他の場所に移動し、生息域が広がっていきます。

エネル・ノース・アメリカは、既存の営農放牧型太陽光発電所で、有機物が200%以上改善されたとプレスリリースで述べています。

羊たちにとっても、太陽光パネルとの共生には恩恵があるんだそうです。太陽光パネルは、夏のテキサスの強烈な日差しを遮ってくれるため、羊たちの健康維持にもつながりますし、日陰のない場所での放牧よりも水を節約できます。

環境にも気候にも生態系にも良く、経済性も高く、羊たちにもいいなんて一石何鳥になるんだ?

ところで、ヤギじゃダメなのかと疑問を持ったんですけど、ヤギは電線をかじるからダメなんだそうです。ヤギさんは手紙だけじゃなく電線まで食べちゃうのか…。