会員制セカンドホームサービスのSANUが2週間で建てられる新型キャビン「SANU CABIN MOSS」を年内5拠点に展開

AI要約

「SANU 2nd Home」は、都心からアクセスの良い自然立地にあるセカンドホームを自由に選び、滞在できる会員制セカンドホームサービス。

サービス内容や将来展望、環境配慮型建築など、総合的な情報が記載されています。

建設業や林業の取り組み、森林保全に対する意識などを示唆する内容が含まれています。

新型キャビンMOSSをはじめ、北軽井沢の開業や展開予定地、環境対応設計などについて詳細に記載されています。

建築業界の課題に対する斬新な提案や取り組みも紹介されています。

木材の利用、デジタルデータの活用、自然と都市の調和などに焦点が当てられています。

自然と都市の両方を利用できるような斬新なコンセプト、未来展望、環境保全への取り組み、建築デザインのユニークさなどが特徴として挙げられます。

社会的な課題に対しての新しい解決策や、持続可能な建築への考え方が示されています。

会員制セカンドホームサービスのSANUが2週間で建てられる新型キャビン「SANU CABIN MOSS」を年内5拠点に展開

「SANU 2nd Home」は、都心からアクセスの良い自然立地にあるセカンドホームを自由に選び、滞在できる会員制セカンドホームサービス。

個人会員は月額55,000円で、全国に21拠点(2024年8月現在)のSANU 2nd Homeを利用でき、月に7泊までは追加用金なし(+5,500円/土・祝前日・祝日、清掃費3,300円/滞在)、4連泊まで滞在可能、月単位で解約も可能だ。

手頃な価格、場所を選べる自由なスタイルでニ拠点生活が実現できることが好評を博し、2021年のサービス開始以来、順調に事業を拡大。2025年にかけて北はニセコ、南は奄美大島まで全国の海、山、湖に展開し、30拠点へと拡大していく。

8月10日に北軽井沢に開業したのが、「SANU 2nd Home 北軽井沢 2nd」。建築設計・施工パートナーの「ADX」とともに開発した新型キャビン「SANU CABIN MOSS」は、プレハブ工法により現場での作業を削減したことで、現地での施工期間を2週間に短縮、環境負荷の最小化、建設業の人手不足課題解決を見据えた環境共生建築のフラッグシップモデルとなっている。

新型キャビンは、北軽井沢での完成を皮切りに、2024年内に長野県・白馬、山梨県・南アルプスなど計5拠点に新たに展開する。

MOSSは木の実から着想を得たというユニークな形のキャビンだが、苔生す森に生きる動植物への思いやりを表現した建物と、ADX代表で建築家の安齋好太郎氏は話す。MOSSに込めた思いについて安齋氏に話を聞いた。

「特徴として屋根がボコボコと多面体になっていることで、これは意味があります。よくある三角の屋根だと、雨が降ると片方にばかり水が流れて、一部にだけ水が溜まって川のようになってしまい、そこにある植物や土を流してしまう。

僕らが来たことで森に悪影響を与えないために、折り紙のような屈折したフォルムの屋根にして、流体力学の基づき雨水や風を分散させるような設計になっています。

もう一つの特徴は、建物が1m浮いていること。基礎の上に建物を作る従来の建て方だと、今まで自然に吹いていた風の流れを止めてしまい、ここに根付いていた植物や森に風が行き渡らなくなってしまいます。

そこで独自開発した高基礎杭工法を使うことで、建物を1m地面から上げて、風を止めずに建物も森も風を共有する形にしました」(安齋氏)

建設業従事者の人手不足と高齢化、建設単価の上昇などに諸問題に対して、安定的に開発を実現することもSANUの特徴であり、デジタルデータを活用したプレハブ型建築をADXと協業で推進している。

新型キャビンMOSSは建築加工工程の80%を工場生産。杭基礎、フレーム(柱・梁)という現場施工のパートと、ユニットという工場施工のパートで成り立っており、現場は足場を組む必要がなく、安全な環境下で、2週間という短期間で建築できる。

「従来のSANUキャビンは1棟建てるのに3~4ヶ月かかりますが、MOSSは2週間で完成します。地面に対する建物の接地面積が0.4%しかなく、地面にそっとタッチしている8本の杭で成り立っている建築です。

杭基礎の作業、それから基礎の上にフレームを取り付ける作業を行います。最後に工場で加工したユニットを取り付けていきます。ユニットは内外装、家具、窓ガラス、コンセント、照明などがすでに付いた状態で運び込まれるので、施工期間を大幅に短縮することができます。

ここの冬は-20℃にもなる過酷な現場です。工事の期間をできるだけ短くすることで、働く人が安全にものづくりに従事できるような工法を採用しました。

また、工事が長くなるほど土を削ったり、木を切ったり、森にとって良くないことが起きます。工事の期間を短くするための仕組みは職人さんのためでもあり、この森を守るためでもあります。

早く作るのがいいということではなく、自然はもちろん働く人にも良い環境を提供し、持続的に環境を守っていくことがこれからの建築の未来像なのではないかと考えています」(安齋氏)

建物の環境対応については、標高0~1500m、外気温は-20℃~+50℃、風速は秒速46mまで、積雪は3.5mまで対応でき、日本のほとんどの場所で耐えられる設計になっている。

多面体構造によって強風や大雨などに対する建物強度を向上し、断熱性もG1クラスと非常に高い。

また、建物全てのパーツを3Dデジタル化しており、経年によるメンテナンスの際にも職人の技量に左右されず、データから同じクオリティを再現できるため、50年間良好な状態を保てる建築となっている。

日本では林業の人手不足も相まって森の老朽化が課題となっている。SANU CABINシリーズでは、国産材を100%使用、さらには伐採期を迎えた50?60年の樹木を中心に活用するなど、木材の調達にもこだわっている。

建築総コストに占める木材のコストは、一般的な木造建築は8~14%とされるが、SANUではキャビンの木質化率を39%まで拡大。さらに、提携林業組合の協力のもと植林活動を行うことで、日本の森の循環を促進する。

「ADXは祖父の代から木造建築を69年間手がけてきました。今、日本中の森で、戦後に植えた木が老朽化して使われない状態になっています。老朽化が進むと、生物多様性が失われ、土砂崩れが起きる危険性もあります。

森を守ることは、僕らが好きな森が豊かにするために非常に大切なこと。だからこそ、ADXは、森が豊かになることの手段として建築を作っていくと決めています。豊かに育った木を建築に使って、切った木はちゃんと植えて、豊かな森を持続させていきます」

SANUのキャビンに使われている木材はすべて産地が明確な“Farm to Table”。ファームトゥテーブルとは、“農場から食卓へ”を意味する言葉通り、生産者から消費者に直接届けることで、食材の鮮度や安全性を確保できるという考え方。

SANUのキャビンはこの考え方を木材に当てはめ、森林保全に取り組む産地や森林組合など森をつくるビジョンを持った産地の木材を使用している。

下記画像はMOSSキャビンに使われている木材の数々。床柱は京都の北山杉、ワークスペースの机は棟ごとに全国各地の胡桃、ケヤキ、地松など素材が異なり、床は福島県・会津の栗材、家具は北海道のニレ、壁は関東圏からの端材や間伐材、廃材などを粉砕して板状にしたリサイクル素材のMDFを使っている。

「人が住むのに都市と自然、2つの世界があったらいいのでは思っています。都市=社会の中で生活していると、仕事でも人間関係でもSNSでも、常に評価にさらされています。

社会を担う一員としてもちろん義務は全うすべきだとは思いますが、ずっとその中にいると疲れてしまいます。それは大人だけじゃなくて、子どもたちも同じ。だからこそ2つの世界を持つのは、僕らにとって安心なことじゃないかなと思います。

都市か自然かを選ぶのではなく、むしろどっちもが人間にはあった方がいいのではないかと思うんです。

社会でがんばることも大切、そこから少し離れてリラックスしたり体を動かして自然と一緒に楽しむことも大切、この2つの世界を過ごすことができるのがSANUのスタイルだと思っています。

SANUはいわば“どこでもドア”。地方移住や別荘となるととてもハードルが高いですが、SANU 2nd Homeが日本中に広がるということは日本全体が僕らの家になる。

いずれはハワイや台湾など世界にもSANU 2nd Home広げていこうと思っていて、SANUの会員になれば地球全体が家になるっていう未来も描いています」(SANU 創業者/ブランドディレクター 本間貴裕氏)

「グリーンワイズ」が手掛けたSANU 北軽井沢 2ndのランドスケープは、森の樹木を残した自然の特徴を活かした景観。北軽井沢の森に多く生育する地被類のオシダ(シダ植物の一種)の保存と移植を行い、既存の森になじむような新植樹木を選定している。

ここには浅間石が土の中に埋もれており、工事中に出た浅間石は、車道沿いの土留め景石、ユニットキャビン前の景石などすべて敷地内に活用して、森と岩の景観を作っている。浅間石は浅間山の溶岩石で、軽石なので容易に持ち運びできる。

敷地内には、森の下草刈りや剪定作業で出る枝葉や落ち葉を貯めて、自然に土に還す循環型管理の「バイオネスト」を設置。敷地内の伐採木の幹や枝葉で作ったリング状の“巣”の中に子どもたちが中に入って遊んだり、腰かけたりすることも。